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蒼い時 / エドワード・ゴーリー
[柴田元幸 訳] “T”の文字入りのタートルネックセーターを着たアナグマみたいな瓜二つの犬(?)2匹が、哲学問答ふうのシンプルな対話を交わす絵本。 二匹のやり取りは成り立ってるのやら、成り立ってないのやら、果たしてデタラメなのやら深遠なのやら。 そのどっちつかずの均衡がまたとない世界観を醸し出しています。 “君の考えていることが重要なのか 僕にはわかったためしがない”って、ほんとその通りですよゴーリー。 でもやっぱり、君たち哲学のパロディして遊んでるのでしょ? ね? そうでしょ? と二匹の犬に突っ込みたくなってしまいます。 ふふ。 たぶん意味不明でいいのだ。 実は意味が込められていたりしては全然ゴーリーらしくないもの。 でもそれなのに、ポーザーでありながら本物を超えてしまうような得体の知れない止揚感覚がゴーリー作品にはあって、本作品はその醍醐味が今まで読んだ中で一番顕著だったと思う。 紛うかたなき上質な癒し本なのだ。
原題はフランス語のL'Heure bleue(英語のthe blue hourのこと)で、“黄昏どき”を意味するそうです。 細い線画ではなく塗りつぶしの面で表現された絵柄は、いつになく構図が重視されており、ポスターデザインのように抽象的でスタイリッシュです。 メインカラーの青に影絵のような黒を重ねた背景に浮かぶ犬の白。 青、黒、白の取り合わせで表現された色彩空間が、観念世界を逍遥するイメージと深くシンクロしています。
滅多に遠出をしないゴーリーが、珍しくスコットランドへ旅した時の体験に基づいて描かれている(という説がある)そうですが、いったいスコットランド要素はいずこに^^; 人生のエアポケットのような時間が、優雅に、ひっそりと、ちょっと物憂げに流れていて、これが日常という座標の外に存在する“旅”の感覚に通じているように思えなくもありません。 それか、旅行中にふと耳にした行きずりの人々の会話の断片をコラージュしてみたら、まぐれにもクスッとしたり、ドキッとしてしまえて面白かったとかね・・ってのは冗談ですけど、ゴーリーならやりかねない気がして、そんな悪戯心までちょっと想像してしまった。


蒼い時
エドワード ゴーリー
河出書房新社 2001-10 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★
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