華々しき鼻血 / エドワード・ゴーリー
[柴田元幸 訳] ゴーリーはアルファベット・ブックをネタにした絵本をいろいろ作ったそうですが、これもそんな一冊。 ただし名詞ではなく副詞にスポットを当てている点が特徴的。 言わずもがなですが、子供のためのABC学習という健全な大義が木っ端微塵に^^; 不条理なブラック・ヴァージョンとして生まれ変わっております。
AからZの頭文字を持つ26通りの副詞を組み入れた26通りの断片的な短文にそって、そのシチュエーションを視覚表現した26通りの絵がいつもの緻密な線で順番に描かれています。 使われている副詞が何とも絶妙の擽りを発揮する文と絵のコラボ。 副詞が醸し出す“騒めき”が揺曳していて、主役ではない品詞が持つデリケートな作用の面白さに改めて気づかされる。 “本書は副詞というものに栄光を与えた書として言語遊戯の歴史のなかでも特筆すべき一冊と言ってよい”とは柴田元幸さんの談。 原文をいろはカルタ調に訳したセンスがお見事でした。 いろは順にそのまま置き換えるのは流石に無理としても、上手く独特な世界観を喚起してくれます。 そもそもカルタはランダムに読み上げるものだしこれで合ってる。
柴田さんはゴーリーがチョイスした副詞の偏りっぷりを分析して、無為系、悪意系、切ない系、曖昧系の4系統に分類しておられるのですが、まさにこの4つを併せ持つ雰囲気のなかに不思議なユーモアを飄々と発散させる・・というのがゴーリーの魔術だよなぁ。
それにしても、タイトルと表紙の意味不明さは何なのw 内容との連関がさっぱり掴めないまま見つめ続けていると、そのギリギリの悪趣味さとバカバカしさに笑いが込み上げてくるから困る。 こういうセンスってどことなく英国っぽい気がするのは何故か。 で、裏表紙に目を転じてゾクり&クスり。 想像力を刺激する澄ましかえった“不穏”がシュール過ぎます!
余談ですが、「キャッテゴーリー」の猫と「蒼い時」の犬が(擬人化されてないヴァージョンで)友情出演してると思っていいんでしょこれ? てか本篇の猫と犬が現実(笑)で、「キャッテゴーリー」や「蒼い時」は、猫と犬が夢見た魔法の国の物語だったのに違いないわ・・


華々しき鼻血
エドワード ゴーリー
河出書房新社 2001-11 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★★
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