長安牡丹花異聞 / 森福都
中国時代小説集。 6篇収録。 ミステリ風、幻想風、人情風・・どの作品もかっちりカテゴライズできないような、微妙な味わいが作品ごとに楽しめてよかった。 涼やかさと妖艶さのコントラストや、小気味よさと余韻のバランスもいい感じだった。 時代背景など歴史に忠実に描かれる中で、オリジナルな登場人物たちが世相の襞を縫うように活躍する。 ラストの一篇は歴史ロマンぽいなぁ〜と思って調べてみたのだけど、どうやら太宗皇帝時代の唐の皇女、文成公主の物語のよう。 名前は金鈴公主に変わってるんだけど・・ こうなると他の主人公たちもモデルがいるのかな?
個人的には幻想的な美しさの漂う「長安牡丹花異聞」と「殿」に惹かれた。 闇の中でぼぉっと光を放って咲き誇る牡丹とそれを恍惚と見つめる人々の退廃的な情景や、美しくも妖しい駱駝の楽隊・・ それにしても長安の都は天竺やペルシャあたりの異国情緒が混ざって、平安の都とはまた違った豊かな趣きがあるなぁ。 ちなみにそれぞれの作品の舞台設定をあげておくと・・

「長安牡丹花異聞」⇒ 唐の爛熟期。玄宗皇帝の時代。長安。
「累卵」⇒ 武周朝。則天武后の時代(唐の間の一時代)。洛陽。
「チーティング」⇒ 清の繁栄期。乾隆帝の時代。広州。
「殿」⇒ 唐の末期(安禄山の反乱期)。長安から蜀へ。
「虞良仁膏奇譚」⇒ 二千数百年前。苑の都。(確認できず・・;;)
「梨花雪」⇒ 唐の初期。太宗皇帝の時代。隣国の高地の国。(モデルは吐蕃王朝のよう)


長安牡丹花異聞
森福 都
文藝春秋 2005-07 (文庫)
関連作品いろいろ
★★★
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