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バーバ・ヤガー / アーネスト・スモール
[ブレア・レント 絵][小玉知子 訳] 森谷明子さんの「深山に棲む声」を読んでバーバ・ヤガーにもっと触れてみたくなり、探していたところ、この絵本にたどり着きました。 少しかすれたような黒い線と面が基調にあって、全体も抑えた色彩、版画のように素朴な雰囲気と緊密な装飾性が美しい絵。 アメリカ人のブレア・レントは、子どもの本のイラストレーターなのですが、アーネスト・スモール名義で絵本作家としても活動していたそうです。
バーバ・ヤガーはロシア民話に登場する森の魔女。 ビジュアル的に独特なセンスがあり、一度知ったら忘れられなくなるような精彩を放つ魔女なのです。 現代作家のイマジネーションを刺激するのが頷けます。 元は民話なので、おそらくあらすじには様々なバリエーションが存在すると思われるのだけど、この絵本が民話の再話に近いのか、オリジナリティを持たせたリメイク童話に近いのか、その辺は定かではありません。
少女が森でバーバ・ヤガーに捕まってから無事に家に帰るまでのお話です。 冒険譚や変身譚モチーフが機能する快活なストーリー。 バーバ・ヤガーはおマヌケさんですし、お約束通り“機転”によって命拾いをする少女も、やけにこすっからく立ち回るという感じではなくて、全体にとってもチャーミングな空気感。 そしてやはり、ビジュアルなのだよなぁ。 絵は大好きで素晴らしかったのですが、たとえ絵がなくても魅惑の映像世界が頭に広がりそう。 ペーチカ(暖炉)やサモワール(湯沸かし)や、聖ワシリイ大聖堂にそっくりなお城が登場したり、ところどころにロシア風味も覗かせています。
アーネスト・スモール版のバーバ・ヤガー属性はだいたい次の通り。 棲み家は森の一番奥。 ニワトリの足が生えている小屋で、痩せた黒猫とひっそり暮らしている。 小屋はドクロと骨で作った垣根に囲まれている。 癇癪を起こすと家ごと森中を走り回る。 ハゲタカの羽根のような黒いマントを着て、髪の毛は伸びほうだい、指は長く骨張り、鉄の歯をガチガチさせている。 臼に乗り、杵で舵取りして、帚で渦巻く黒雲をはらいながら空を飛ぶことができる。 臼に乗って森を飛び回り、葉っぱや花や根っこや種や草の実を集めては、袋いっぱい詰めてきて色んな魔法の薬を作っている。 ガラス瓶に入れた魔法の薬は鍵のかかった戸棚に並べられ、宝物のように仕舞われていて百種類くらいある。 夜の騎士に扮した“月のない夜”と白の騎士に扮した“はれた日”は彼女の忠実な召使い。 悪い子を見つけてとびきり美味しいシチューを作って食べたがっている。
・・といった感じ。 あと、彼女は老化とそれに伴う魔法の衰えを気にしています。 小瓶のコレクションであと一つどうしても長寿の妙薬だけが足りないのです・・
聞かれたことに答える度に一つ年をとっちゃうのに、ついつい答えちゃったり、渋々答えてあげたり、バーバ・ヤガーが憎めないキャラなのよね。 自己申告を信じてあげちゃうし、すぐ説得されちゃうしね。 あ、でも、約束したら律儀に守ったり、発せられた言葉を重んじるのは本来の魔女(や悪魔)の性質と言えるかも。 “少女はなぜ家に帰ることができたか?”が、個人的には最大のツボでした。 ウィットがあってほんと可愛い話だったなぁ。 読んでよかった♪



バーバ・ヤガー
アーネスト・スモール
童話館出版 1998-01
(大型本)
★★★
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