六の宮の姫君 / アンソロジー
“あなたのための小さな物語シリーズ”の一冊。編者は赤木かん子さん。 児童文学評論家で、図書館棚づくりプロデューサーなんていう肩書きもお持ちの方で、本書に収められた“六の宮の姫君”に纏わる四つの短篇の構成からも、その手腕が窺える。 本家本元の今昔物語の中の「六宮姫君夫出家語(ろくのみやのひめぎみのおうとしゅっけすること)」をラストに持ってきて、そこから遡るように、現代語訳となる福永武彦氏の「六の宮の姫君がはかなくなる話」、原典を元に芥川龍之介がリメイクした「六の宮の姫君」、そして先頭を飾るのは、芥川の「六の宮の姫君」の解釈をモチーフに現代人の生き方を模索した山岸凉子さんの漫画「朱雀門」。 これ、まったく逆の順で読んでも面白いね。 でも親しみやすさを優先したら断然この順番になるだろう。
原文は姫の夫の哀しみを描いた物語だったのが、芥川の筆になると姫の生き方を断罪する(ちょっとキツイけどこれくらいのニュアンスを受けた)物語に変わってる。 男も女もその時々の成り行き任せで生きていて、当然後になってそのツケがまわって来て、めそめそなよなよ泣き崩れるところなんていかにも平安ぽくて、その様子を漫然と描いている原文の雰囲気そのものが自分は結構好きだったりする^^; だからこそ“人間が人間らしく在るために”という意志の力が鋭く訴えかけてくる芥川の作品が映えてくるのもすごくわかる。 と偉そーなこと書いてるけど、山岸凉子作品を読まなかったら、原文も訳も芥川もこんなに味わって読めたかどうか心許ない。 解説で赤木かん子さんがおっしゃっている通り、4つの物語は一緒に並べることによって、お互いの光でさらに輝きを増しているかのよう。 編集の妙を堪能した作品集。

収録作品
朱雀門 / 山岸凉子
六の宮の姫君 / 芥川龍之介
六の宮の姫君がはかなくなる話 / 福永武彦(現代語訳)
六宮姫君夫出家語 / 今昔物語(原文)


六の宮の姫君
−Little Selections あなたのための小さな物語−

アンソロジー
ポプラ社 2003-04 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★
| comments(0) | trackbacks(0) |
C O M M E N T








http://favorite-book.jugem.jp/trackback/116