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夏への扉 / ロバート・A・ハインライン
夏への扉
ロバート A ハインライン
早川書房 1979-05
(文庫)
★★

[福島正実 訳] わたしたちには過去となってしまった西暦2000年が、未来の象徴のように登場する1950年代に書かれたSFファンタジー。 今なお愛され続けている傑作・・遅ればせながら読んでみました。
舞台となる1970年も、作者にとっては近未来だったんだなぁ。 しかし、ここに描かれる1970年の人々は、核戦争を経験していたり、また冷凍睡眠装置が商品化されていたりなど、現実の歴史とは随分事情が違うし、その延長線上にある2000年も、わたしたちの知っている2000年とは次元の違うパラレルワールドなわけで、だからこそ永遠に古くならないのです。
環境破壊の後遺症的な灰色なイメージとか、あるいは空間を必要としない仮想の領域へと展開されていくような手応えとか、現代の未来像といえばそんな風なイメージなんだけど、未来が無条件にきらきらと輝いていた物理的で重量感のある“昔の未来”は、どこか堪らないほどノスタルジック。 もちろん作者はそんなことを意図して書いたわけではなくて。 そこにまた古き良き時代への愛おしさを掻き立てられてしまったり....。
でも、こんな感想は捻くれてますね。 純粋に物語小説として間違えなく楽しい。 ハラハラドキドキのシークエンスとハートウォーミングな読後感。 構成も美しい。 人物描写が現代人にとっては少し寓話的かもしれないけれど、作品のファンタジック要素と呼応して、かえって物語を魅力的に引き立たせます。
翻訳ものならではの味わい深さっていうか・・よかったなぁ。“護民官ペトロニウス”なんていう愛猫のネーミングに、まずやられてしまうし、そんなピートの顔には“ワッフルのような傷痕”があるのですもの・・どうしましょ。ヤバいでしょ。 レオナルド・ダ・ヴィンチに関するちょっとした歴史ミステリのおまけまで付いている。 そしてこの表紙カバー! なんと愛おしい後頭部。 読み終えて見返すとじんわり・・
| comments(2) | - |
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C O M M E N T
この後頭部、何度見てもなでたくなります。
歴史に残る表紙です。作品も好きなんだけど、やっぱり表紙が決め手だったなぁ。

susuさんがおっしゃる通り、「昔の未来」は、ノスタルジックできらきらしていますね。
上手におっしゃるなぁ。そうなんです。パラレルワールドなんです。
ハインラインにとって、ものすごーく未来だった2000年は、最初から別世界。
きっと想像するのも楽しかったんじゃないかと思いました。
| 香桑 | 2009/12/18 |

ふふ・・ コショコショしたくなりますね^^
ピンと立ったお耳や柄の具合がすっかり頭に焼きついてます。
作品の人気に、きっと、たぶん、絶対、大貢献しましたよね。この表紙♪

キュンとなるほど眩しくて気恥ずかしいくらいなのですが、
ハインラインの描いた未来観は、人間の憧れであり続けるのでしょうねぇ。
その力が物語をいつまでも色褪せさせないのかなって・・

香桑さんの猫ちゃんの後頭部もピートに負けてません! 可愛い過ぎる><
| susu | 2009/12/19 |