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雪女郎 / 皆川博子
現実と幻覚、正気と狂気の狭間で妖しく饗される魔宴のような6篇の短篇集。 作家さんが独りで酔いしれてしまっていて、読んでると逆に引いてしまうような幻想小説って時々あるけど、皆川さんのはそれと対極にあるような感じがいつもしている。 書いてるご本人は凄く醒めた意識下にあるんじゃないかというような。 だからこそ読者は心置きなく誘われ、もてなされ、酔わせてもらえるんじゃないかと。 わたしにはとても相性のよい作家さん。
みんなよかったのだけれど、2作目から4作目の頽廃的な香りが好き。 特に一番よかったのは2作目の「少年外道」。 冥府へ旅立たんとする鶴屋南北が語り部となり、若き日の記憶を辿り回想している。 南北の絢爛たる悪の世界が凝縮されたようなこの短篇は、先にお書きになった「鶴屋南北冥府巡」に連なる物語として息衝いている。 「吉様いのち」では御出木偶芝居の徒花的色香に、「闇衣」では物乞いたちの夜宴の妖美さに惹き込まれクラクラした。
1話目の「雪女郎」とラストの「夏の飾り」は、意図的なのか共通性のあるシチュエーションの幻夢譚。 読み終えるとぐるっと廻って小説世界がシンクロしていくような幻惑感を味わえる。
90年代前半の作品が揃う中で5作目の「十五歳の掟」という一篇は、79年に発表された皆川さん初の時代短篇であるらしく、想い入れも深いようである。 皆川さんの時代小説は、濃密なのにさらりとした儚さや幻影的な感覚の世界で遊ぶような、ある意味どこか優雅な感じがするのだけれど、この初期の一篇は毛色が違うなぁ〜と思った。 心理サスペンス的な色合いが強くさらり感がない。 追い詰めて切り裂いてしまうようなシャープなド迫力が・・凄すぎる。


雪女郎
皆川 博子
読売新聞社 1995-12 (単行本)
皆川博子作品いろいろ
★★★
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