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楽しい古事記 / 阿刀田高
またまた阿刀田さんの古典鑑賞読本シリーズ。 今回は古事記。 やっぱり上巻の神々の時代の破天荒な大らかさが良い。 次々と登場する定番のエピソードは何度読んでも飽きないから不思議。 地上の摂理が神々の取り引きや所業の結果として物語に組み込まれ、巧みに説明付けされているのも、神話ならではの面白さ。
芥川龍之介が「老いたる素戔鳴尊」という短篇を書いてるらしい。 オオクニヌシがスサノオの元から娘のスセリヒメを奪取する場面は大好きで、2人を見送る姿に大人になったスサノオを感じて、ついうるうるしてしまうんだれど、この辺りの心情を見事に描き切っているようで、スサノオファンとしてはそそられる。
そしてなんといっても“国譲り”の箇所が一番面白かった! 神話の中に潜む真実性を鋭く掬い取って、高天原と出雲王朝の攻防を非常に興味深い考察を交えて読ませてくれた。
中巻から下巻へかけて時代が下っていくと、どんどん複雑に絡み合い、人間臭く血生臭くなってきて、ちょっと食傷気味になってしまうんだけれど、本書は“楽しさ”を重視して書かれているので、系図や地名など、小難しい部分が気持よいくらいにバンバン省かれていることもあって、物語性に富んだエピソードなどを中心に、感触が掴みやすく、最後までぐいぐい読めた。
古事記は天武天皇の発案で、大和朝廷が如何に正統かを誇示するために後追いの形で作られた史書で、大和朝廷に都合よく、また天武天皇におもねって歴史を創造したきらいがあるのも“楽しく”紹介されている。 年代の辻褄を合わせるためか百歳超えの天皇がばんばん出てくるし、長い期間に渡り様々な人物の手で行われた遠征や討伐をヤマトタケルに集約し“大和朝廷の英雄”を生み出したり、天武天皇を意識してか、有能な弟が兄の上に立つエピソードが実に多かったり^^ 史書のかたちを取った壮大な民話というか・・民族の古典として純粋に楽しみたいなぁ〜と個人的には思うし、阿刀田さんもそういうお立場でお書きになっていたように思う。


楽しい古事記
阿刀田 高
角川書店 2003-06 (文庫)
関連作品いろいろ
★★★
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