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天才たちの値段 / 門井慶喜
天才美術コンサルタントを探偵役に、美術史を教える短大教員をワトソン役に配した、絵画・古美術をめぐるミステリ連作集。
最初こそ“舌”で美術品の真贋を見極める神永美有の探偵キャラに、胡散臭げな眼差しを向けてしまったものの、読み進め読み終わると、この人智を超越したかのような神秘的能力は、彼の明晰な頭脳の隠れ蓑とでもいいましょうか、一流のブラフなんじゃないかと思えてくるのです。 あえて舞台装置として華々しく使わないところが、じわじわと効いてくる。 と同時に真贋の評価軸(価値基準)の多様性、曖昧さ、頼りなさに驚き、学術的、文化的、美的、マニア的、宗教的、金銭的などなど・・モノの価値なんてアプローチする方向から結構あっけなく変わってしまったりするのかもしれないなんて思えてきて、結局はそれこそ自分の舌で味わえるか味わえないかって事に尽きるんじゃなかろうか・・などと、途方もなく思いめぐらせてしまいました。 そういうところを上手くついた思い切りのよい発想の転換が、この作品の見せ場でもあり、また、美術品の真贋そのものをテーマにした謎解きというコアなフィールドに全く居心地の悪さを感じさせないのも嬉しい。
ボッティチェッリやフェルメール、古地図や涅槃図や工芸品など、美術界の芳しき香りが親しみやすく散りばめられています。 有名なフェルメールの贋作事件は、事実は小説より奇なりで目から鱗。 明治の終わりから大正にかけての日本を好意的に欧米に紹介したことで、小泉八雲に並び論じられるが、その身に漂う物悲しさは八雲の比ではないといわれるヴェンセスラウ・デ・モラエスを扱った2作目の「紙の上の島」が大好き。 佐々木先生のワトソンたる役回り(笑;;)もよかったし、双子姉妹も活きてたし、ストーリー性が豊かで、なんといってもこの話の落としどころが好きでした。 読んだ後にウィキでモラエスの銅像の写真を見てうるうるしてしまいました。
新人作家さんなんですね。びっくりです。 続編待ってます!


天才たちの値段
門井 慶喜
文藝春秋 2006-09 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★
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