小美代姐さん花乱万丈 / 群ようこ
激動の昭和を生き抜いた浅草の売れっ子芸者、小美代姐さんの一代記。 小美代姐さんは、群ようこさんの三味線のお師匠さんらしいです。 どんな語り部だったんだろうなぁ〜なんて想像してしまいます。 お話を聞きながら、お師匠さんの評伝小説を書きたくてウズウズしてしまう群さんの心境にまで、想いを馳せてしまいました。
この時期の花柳界の物語というと、最近読んだ「さゆり」を思い出すのですが、あちらは、しっとりはんなりとした風情のある祇園の芸鼓さんの物語でした。 こちらは小粋な江戸前です。 好対照♪
ちゃっかり者の小美代姐さん。 強くて逞しくて、そして可愛い。 右手の障害、東京大空襲、悲恋、夫の死、借金・・一歩違えばじっとりと重量感のある苦労話に仕上がりそうだけれど、ちっとも湿っぽくなくて、 哀しみさえもカラっとしていて、そんなところがなぜか余計に沁みるのです。 転んでもタダじゃ起きない底力、物怖じしない切符の良さ、人の心をほぐし、決して嫌な気持ちにさせない芸者魂を支える温もり、そんな陽性気質を下敷きにしたお座敷でのエピソードや人生のこぼれ話に、クスクス笑って、ケラケラ笑って、油断してるとほろほろっとやられてしまいます。 平らかな気持ちにさせてくれる自然体の大らかさが、惚れ惚れするほど恰好いいのです。
最後、後半生が駆け足だったなぁというのが非常に惜しまれるのですが、「小美代姐さん愛縁奇縁」という続編(?)が出ているようで、その辺りを補ってくれているのでしょうか・・読まなくては!


小美代姐さん花乱万丈
群 ようこ
集英社 2005-12 (文庫)
関連作品いろいろ
★★★★
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