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奴の小万と呼ばれた女 / 松井今朝子
作中作もの。 大好き^^ 「なまみこ物語」とか「円朝芝居噺 夫婦幽霊」でも騙されかけているので、この物語もどこまでが本当なのかしら? と疑わしげな眼差しをつい向けてしまったのですが、どうやら素直に評伝小説と捉えてよかったようです。
江戸時代中期の大坂で、大和撫子の美徳とは対極の信念を貫き通した女性、人々の度肝を抜いた破天荒な生き様は、浄瑠璃や、後に歌舞伎の演目にもなったという“奴の小万”と呼ばれた娘(後の三好正慶尼)は、実在の人物なのでした。
裕福な家に生まれ、美貌、頭脳、体力に恵まれ、人並みの幸せを拒み、忍従を拒み、彼女が歩いた道筋には、全てのものがなぎ倒されているかの如き傷痕すら刻みながら、自分勝手に、我侭に、奔放に、世間様に喧嘩を売って、身を張って生きた姿からは、痛快さというよりは、やっぱり少し痛々しさが響いてくる。 現代に生まれていたら、あそこまで目立つこともなく、生き辛くもなかったんじゃないかと思うんだけど、女性の生き方として、彼女のような発想そのものがないような時代に、何かに触発されたというのでもなしに、型破りであることに怖気づかず、生涯、天性の気質に正直であったという眩しさみたいなものは感じたかなぁ〜と思う。
でも所詮、自分は小市民なので、心情的に彼女に寄り添うことは難しく・・ 様々に絡まり合う柵を自分の胸の内に飼い馴らしながら、世の中となんとか折り合いをつけて生きていこうとするような、彼女から見たら“つまらない人”“偽善者”“勇気のない人”と映ってしまいそうな人々をどうか馬鹿にしないでください・・と、わたしなどは思ってしまったものでした。
でも、そんなお雪を肯定するでも否定するでもない“こういう女性がいたんだよ”という松井さんのフェアな姿勢のお陰で、良さも悪さも全部ひっくるめて、1人の女性が選び取った1つの人生なんだなって、ストーンと入ってくるものがあった。
同時代の市井の人々は、なんだかんだ言いつつ、心の何処かでは彼女に憧れ、夢を託していたんじゃないかと、最後にふと思いました。


奴の小万と呼ばれた女
松井 今朝子
講談社 2003-04 (文庫)
関連作品いろいろ
★★
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