※ ネタバレご注意を ※

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - |
秋の牢獄 / 恒川光太郎
抗えぬ力に囚われ“閉じ込められる”物語3篇のオムニバス。 前2作のような和モダン的な幻想美はやや控えめで、人間のエゴや生臭い部分が意外と前面に押し出されているような、ちょっと露悪的な印象。 意図的なのかもしれないのだけれど、あからさまに具現化された悪意が小骨のように引っ掛かってしまって、個人的な偏愛傾向からは、少し外れてしまった気も。 いや、でも、あえて小綺麗な幻想譚にまとまらないように、わざわざぶち壊しているのかなとも思う。 汚された美しさから匂い立つ生々しい悪徳の香り・・みたいなニュアンスも嗅ぎ取れる気はするんだけれど。
とはいえ、恒川さんの描く異界は、底知れぬ奥行きと共に、えもいわれぬ余韻を湛えているのは確かだし、本作品も、そのオリジナル性を継承していることは間違いありません。 仄かな郷愁と寄る辺なさ、木々や野山の冷んやりとした佇まい、風が奏でる透き通るような旋律、不穏なざわめき、張り詰めた孤独、茫漠とした無常観、諦念、閉じた世界の完結された静けさ・・それらが最も優美に調和されていた「神家没落」が一番好きだったかな。 怖さだったらシュールな「秋の牢獄」もよかった。 そこへ至る過程、痕跡が全て失われて、記憶だけが延々と積もっていくって・・考えるほどに、怖い。
読んだタイミングがいけなかったと思う。「愛の続き」の後では、どんなホラーだって、おいそれとは太刀打ちできませんから。 時間を置いてまた読んでみよう。


秋の牢獄
恒川 光太郎
角川書店 2007-11 (単行本)
関連作品いろいろ
| comments(0) | trackbacks(1) |
スポンサーサイト
| - | - |
C O M M E N T








トラックバック機能は終了しました。
秋の牢獄 
 この本には三つのお話が詰め込まれている。タイトルの『秋の牢獄』のほか、『神家没落』、『幻は夜に成長する』の三篇である。 著者の恒川光太郎は2005年に『夜市』で第12回日本ホラー小説大賞を受賞し、いきなり直木賞候補となった脅威の新人である。そのじっ
| ケントのたそがれ劇場 | 2008/04/13 |