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青年のための読書クラブ / 桜庭一樹
正統と異端というアンビバレンツな普遍性、その狭間で揺れ動く、夢見がちで残酷で、こよなく美を愛する“少女”という生き物の本質を映し出すといった感じの、ゴスロリっぽい世界をケレン味たっぷりに描いた作品で、けっこう面白かったかも。
戦前に良家の子女が通うミッションスクールとして、フランス人修道女により設立された、伝統ある聖マリアナ学園。 ノーブルな生徒会、花形の演劇部、インテリヤクザな新聞部・・華々しい表舞台の陰で、はみだし者の少女たちがたむろする“読書クラブ”がしたたかに根を下ろし、地道な活動を続けていた。 がらくたに埋もれた赤煉瓦塔の廃墟で、慎ましやかな読書の合間に、正式書類から抹殺された本当の学園史が、歴代部員たちの手によって連綿と記録されていく。 本書は彼女たちが記録した“読書クラブ誌”の中から5篇を抜粋した抄録版という体裁をとった連作集。 異端者や暗躍者たちが華麗に舞う、聖マリアナ学園百年の歴史の中で、闇に葬られた暗黒の正史の物語が解き明かされていく・・
ただ若さを武器に既成概念を破壊せんとした全共闘の時代、欲望に身を任せ驕りに酔いしれたバブル時代、満たされた諦めの空気を醸し出す無個性の21世紀・・どの時代の物語も、その時代毎の世相や、「シラノ・ド・ベルジュラック」「緋文字」「紅はこべ」など、海外古典文学と絡められた構成が光る。 楽園に密閉されている少女たちは、永遠に“少女”であり続け、時代背景に彩られながらも、少女期特有の薔薇色の熱に浮かされている。 そんな彼女らを一歩引いた目線で見据える(それはそれで高慢な小娘の見本であるような)少女たちもまた存在する。
最終章の近未来では、読書クラブOGたちに憩いの場を提供する場末の魔窟のような会員制喫茶店が、百年以上前のパリの禁書専門読書クラブのデカダンな香りと響き合って、怪しく静かに普遍性を讃えているかのような・・でも不思議と爽やかなのだ。


青年のための読書クラブ
桜庭 一樹
新潮社 2007-06 (単行本)
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