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陰陽師 / 夢枕獏
陰陽師シリーズ再読企画、始めてみました^^ 平安の雅な闇の世界です。 やばい。 やっぱり大好きですわ。 記念すべき第一話には、今昔物語の説話が5話くらい織り込まれていて、なんと贅沢な! と、今にして思いました。 そして獏さんもそうとう拘られているのだと思うんですけど、この第一巻の雰囲気を崩すことなく、変わることなく継承し続けている気がします。 わたしが今昔物語ヲタになってしまったのも、陰陽師のせいなのです。 もとの話がどんなだったか、誰がどんなリメイクを手がけたか、なんやらもう、頭の中ぐちゃぐちゃになってて、整理できなくなってますけども;;
野山の土地をそのまま唐破風の塀で囲ったような、ぼうぼうとした庭の四季折々の風情。 それを縁から眺める二人の漢。 酒を酌交しながら、訥々と語り合う密やかな佇まい。 藤の木、萱鼠、野の獣、屏風絵などの式神たち・・ 藤の木の式神である蜜虫は、第一話目で儚くなってしまうんですが、晴明は何気に彼女を気に入っていたようで、やがて復活させて、そばに置くようになりますね。 だって一枝の花を咲き残して、晴明の帰りを待っていたなんて、健気ですもん・・ でも、それもこれもみな呪(しゅ)の力なわけですから・・ やっぱり晴明の深い孤独を感じてしまいます。 晴明にとって博雅は、唯一、呪をかけることなく、心を通わせ合える相手なのかもしれません。
この一巻目の一番印象深い情景は、四話目の「蟇」での百鬼夜行との邂逅。 幽鬼のような燐光を放つ唐衣裳を纏った女(式神)に先導されて、この世ならぬ陰態の闇の内を音もなく進む牛車・・ 禍々しくて美しくて、鮮烈なシーンでした。
恋すてふ我が名はまだき立ちにけりひと知れずこそ想い初めしか
初読みの時はスルーしてしまっていたのですが、歌合わせに破れて、食事が喉を通らなくなって死んでしまった壬生忠見が、その時に詠んだ“恋すてふ〜”の歌を口ずさみながら、怨霊となって宮中をさ迷っている・・という話は、その断片が、皆川博子さんの短篇のどこかにも出てきたのを思い出しました。 “コイスチョウ〜”と始まるメロディのような歌の響きがずっと頭に残ってしまうんです。
「忠見どのは元気か」
二杯目の酒を口に運びながら、晴明が言った。
「ふむ。時おり、宿直(とのい)の晩に見かけるよ」
博雅が答えた。
---- 中略 ----
「なぁ、博雅よ」
「なんだ」
「こんど、酒を持って、ふたりで忠見どのの歌を聴きにゆこうか」
「とんでもないことを言うな」
博雅はあきれ顔で晴明を見た。
可哀想な忠見なんですが、晴明と博雅はこんな会話をしちゃってるんですよ^^ 女々しくて気弱げで、どこか憎めない怨霊ですけどね。
ストーリーが一番好きだったのは、「鬼のみちゆき」でしょうか。 最終話の「白比丘尼」も味わい深いです。 そもそも怨霊や鬼を綺麗さっぱり退治する勧善懲悪ものではなく、人の魂も鬼の魂も浄化させるべく動く晴明なのです。 でも救い切れない無常観や縹渺とした物語もあって・・そういうところが好きです。 あまり過去を明かさない晴明ですが、初体験の女性を告白してるんですよ! びっくりしました〜!

<余談>
晴明が仕掛けることに博雅が反応し、晴明にとっては、この博雅の反応が心地よく、愛おしく・・ また博雅は、晴明に全幅の信頼を置いていて 自分の素直な反応が晴明に憩いを与えていることが嬉しい・・ この二人の関係って、SMの美学(?)ですよね^^


陰陽師
夢枕 獏
文藝春秋 1991-02 (文庫)
関連作品いろいろ
★★★★★
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