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マーティン・ドレスラーの夢 / スティーヴン・ミルハウザー
[柴田元幸 訳] 19世紀末から20世紀初頭のニューヨーク。 電気や電話が普及し始め、ビルが建ち始め、地下鉄が動き出し、社会が急激な近代化に晒されて、構造的未来像を模索しているかのような・・ 一種異様な熱気に浮かされた空気は、寓話的な物語の中にしっくりと嵌り、強烈な時代の臭いを放ちます。
葉巻商の家に生まれた青年が、とんとん拍子に出世して、次々と夢を叶えていくストーリーに、いつの間にか知らず知らずのうちに、幻想的な色彩が滑り込んでいて、それが主人公マーティンの危うさと混ざり合っていく終盤が凄いのです。 めくるめく怒涛のような異空間の描写力に圧倒されてしまいます。 マーティンの究極の夢、都市の中の都市として自己充足しているホテル。 全てが網羅され、完結された小世界は、結局はマーティン独りのものであり、大衆をそこへ閉じ込めることはできないのかもしれません。 でも実業家ではなくて、チャレンジャー的資質のままに夢を追い求め続けたマーティンのような生き方も、それはそれであっぱれではないか、と、肩を叩いてあげたくなるようなエンディングも悪くありません。
でも、どうなんでしょうか。 マーティンは、時代を先走りすぎたというか、ポスト・モダンの先取りのような感じもしますし、また、住居ではなく、テーマパークとして捉えたならば、現代でも(現代だからこそ?)充分すぎるほど魅力的な気が。 だってこれって“セカンドライフ”の発想なんじゃない? などと思ってしまうのですが。 とはいっても、それが住居であり、唯一無二の世界なのだとしたら、やっぱり引いてしまうし、生活の場とレジャーの場というのは、一体化させようとしたり、どちらか1つというのでは無理があって・・ 未来人がどう考えるかはわからないけど、それってやっぱり普遍的な気がしてしまうなぁ。


マーティン・ドレスラーの夢
スティーヴン ミルハウザー
白水社 2002-07 (単行本)
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