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仏果を得ず / 三浦しをん
文楽に魅せられ、伝統芸能の世界に足を踏み入れた青年の、芸妓に捧げる青春小説♪ 堅苦しいのじゃないかという心配は御無用です。 あっけらかんと爽やかでユーモラス。 そしてそしてちょっとだけ・・ほんのちょっとだけ甘美な空気感。 大好物〜w 「あやつられ文楽鑑賞」と合わせて読むと、文楽そのものへの理解が深まって、さらに面白いかと思います。
目次が凝ってます^^ 三色に染め上げた引幕を押し開くと“演目”と題され、実際に上演されている文楽の名作がそのまま目次となって並んでいます。 各章で主人公の健太夫が、それぞれの演目に取り組み、三百年前を生きた登場人物たちの心に寄り添おうと、悩みながら奮闘しています。 そこへ横糸となって、ほんのり恋の話や、相方を務める三味線の兎一兄さんとの心の交流などの、今を生きる健太夫の機微が重なり合い響き合い、芸の肥しとなって少しずつ成長していく姿が清々しく描かれていきます。
健大夫は“語り”を担当する義太夫節の技芸員。 文楽には他に、三味線弾きと人形の遣い手がいて、まさに三位一体となって人形に命を吹き込むのですが、特に床に並び演じる太夫と三味線は、時にリードしリードされ、時に挑みあい、表裏一体となって呼吸を合わせあいながら、共に芸の真髄を目指していく切っても切れない夫婦のような間柄。 恋人の真智よりも、兎一兄さんとの絆の方に、なんだかゾクゾクしてしまうわたしなのでした^^;
“仏果を得る”というのは、仏道修行を極めて悟りを得る(成仏する)ことなのだそうです。 煩悩にまみれ、見苦しいくらいの生き様を曝してでも、生きて生きて生き抜く姿こそを讃えているかのようなタイトルは、ちょっとアイロニカルな香りがして素敵です。 古典の名作の中にも、忠義一本やりではいられなかったり、身分制度に反発心を抱いたり、綺麗に生きられない人々の苦悩が、目を凝らすとたくさん描かれているんですよね。 実はそこを描きたい、でもお上に悟られてはならない・・そんな狂言作家の苦悩にまで思いを馳せたくなってしまうのでした。


仏果を得ず
三浦 しをん
双葉社 2007-11 (単行本)
関連作品いろいろ
★★
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