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薔薇忌 / 皆川博子
皆川さんの久々現代もの、読みました。 ホームグラウンド(?)の芝居の世界に纏わる怪奇幻想短編集。 新劇、歌舞伎、小劇団、前衛的な舞踊劇、旅一座など、舞台芸術に携わる人々の妖しく哀しい物語7篇。
皆川さんは作品の中で“日常から真実を抽出して作り上げた幻想空間”というような表現を用いて“舞台”という存在について語っていました。 これって、そのまま皆川さんの作品世界に通ずるものがあるのではないかと、なんだかそんな風に思ってしまいます。
普通の日常生活って、やっぱりどうしても真実から少しばかり眼を逸らすことで、健全性を保っているんじゃないかという気がするし、真実を本当に突き詰めようとしたら、それこそ狂気の世界に踏み込んでしまったり、生きていけなくなっちゃったりするんじゃないかなぁ〜という気もしてしまう。 この作品の登場人物たちは、そのぎりぎりのところに立って、命の灯を燃やしている感じ。 舞台に魅せられ、その虜と成り果てた人々の奏でる、束の間の恍惚と果てしのない闇の饗宴・・ そんな倒錯的な小宇宙がめくるめく繰り広げられています。
情念の織り成す凄艶な綾、甘美な毒や独特の色気は皆川さんらしい情趣なのですが、ラストで暗転する仕掛けや、メランコリックな風合いなど、ストーリーとしてメリハリのあるものが揃っていて、娯楽的要素を前面に押し出しているような印象です。 なのでいつもの余韻が若干少なめかな? とも思いました。
わたしは2作目の「祷鬼」が好きでした。 水を汲んだ桶を覗きこむと、その人のために祈ってくれているなにものかが水に映る・・という光景がすっごく怖かったんです。 一見、有難いことにも思える話ですが、祈られる重さに押し潰されてしまいそうな遣り場のなさが、救いようないほど残酷に思えて・・


薔薇忌
皆川 博子
集英社 1993-11 (文庫)
皆川博子さんの作品いろいろ
★★
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