いのちのパレード / 恩田陸
早川書房から復刊されている“異色作家短篇集シリーズ”が気になっていたところ、本書はかのシリーズに触発された恩田さんの“無国籍で不思議な短篇集を作りたい”という想いが実って誕生した奇想短篇集なのだと知ってウキウキと手に取った。
SF、耽美、ミステリ、辛辣なユーモアなどで彩られたダーク風味な幻想譚15篇。 恩田さんらしいエッセンスが香り高く、ムード満点。 小説を読んで酔うというのはこんな感じだよなぁ〜と再認識。 3年半掛けて雑誌掲載されていたらしいんだけど、見事に雰囲気が統一されている。 というか、恩田さんって「六番目の小夜子」の頃から、雰囲気変わらないよね。 既視感を覚えるくらい。 イマジネーションの断片によって紡がれていくような独自の世界は、どんどん増幅されてゆき、果ても底も見えません。 いつものことながら、確かだと思っている基盤がグラっとするような世界観が光ります。
短篇集「図書室の海」の中の「オデュッセイア」が大好きだったんだけど、あの趣きは「走り続けよ、ひとすじの煙となるまで」に受け継がれていました。 文字通り大地を揺るがすようなスケールと「常野物語」にも通ずるような土着的でノスタルジックな風合い、末枯れたような物悲しさが好きでした。
「いのちのパレード」は前半の咽ぶほどの生命力からの反転、「夜想曲」はやがて訪れる未来の予感・・と、ラストの2篇は、孤独に枯れゆく人類を挟んで繋がっているようなイメージ。 最も好きだったのは、甘美な映像と悲しみが心に刻まれた「かたつむり注意報」と「蝶遣いと春、そして夏」。 シュールでコミカルな「夕飯は七時」も好きな一篇。
短篇にしておくのが勿体ないような題材がたくさん・・というのは、短編に対する褒め言葉にはならないのかもしれませんが、ホントそんな感じなのよね。 一回、恩田さんの頭の中を体験してみたいような衝動に駆られますよ。 所詮、わたしではイメージの洪水の渦に呑まれてヨレヨレになるのがオチでしょうれども;; まことに贅沢なひと時でございました。


いのちのパレード
恩田 陸
実業之日本社 2007-12 (単行本)
関連作品いろいろ
★★
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