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鍵のかかった部屋 / ポール・オースター
[柴田元幸 訳] 本書はオースターの“ニューヨーク三部作”といわれる作品群の3作目なのだそうで;; 知らずに読んでしまいました。
とはいってもテーマとしての共通性があるということで、それぞれの物語は独立しているようですし、前2作は未読ですが違和感はありませんでした。 因みに前2作は「シティ・オヴ・グラス」と「幽霊たち」。
3作共に、不在の人物をめぐる依頼を引き受けることになった主人公の内面を追いながら、“私とは何か?”の周辺を彷徨う姿を描出していくスタイルのようで、本作も主人公と、彼に係わるファンショーという名の不在の人物との関係性が描かれていて、自己の中の他者、他者の中の自己、自己と他者との境界線といった、曖昧で繊細な領域に鋭く焦点を当てたストイックな空気が作品全体から漂います。
正直、観念的というのか・・わたしには難しかったんですけど、自己に対する“他者”という存在には、もっと何か隠喩のようなものが込められているのではないかということは激しく感じました。 というか、ファンショーという存在が、ふと人間には思えなくなったりして・・
例えば“死”とか。 人は呼吸して酸素を取り込まないと生きられないけれど、それと同時に確実に身体は酸化していくわけで。 生命というのは、そもそもこの大いなるジレンマの上に成り立っているというか。 死という不在の存在感と共に生き続ける他はないというか・・
例えば“分身”とか。 “言葉”とか。 言葉にしてしまうと、それはもう自分の“想い”と切り離されてしまうような感覚。 真実を言葉にしたつもりでも、言葉にした途端に嘘に思えてしまうこともあれば、意図して嘘をつくこともある。 自分であって自分でないような“言葉”って・・
読後はなんだか無性にもやもやと思索的になってしまいました。 でも文章が流れるように美しくて、ひたひたと追い詰められる予感や、鮮やかなターニングポイントなど、あれよあれよと惹き込まれ、のめり込んでゆく感じです。 主人公が郵便箱について語る場面が何故か印象的でした。

<追記>
スミマセン! その後、検索してみたら、ちゃんと流れがあるようで、やっぱり順番に読まないとダメみたいです・・うぅ ><。


鍵のかかった部屋
ポール オースター
白水社 1993-10 (新書)
関連作品いろいろ
★★
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