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犬は勘定に入れません / コニー・ウィリス
[副題:あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎][大森望 訳] 面白かったぁ^^ 訳者の言葉を借りれば“抱腹絶倒のヴィクトリア朝タイムトラベル・ラブコメディ”です。 このタイトル、ヴィクトリア朝ユーモア小説の最高峰として読み継がれている、ジェローム・K・ジェローム著「ポートの三人男」の副題に当たるそうで、内容も同作へのオマージュを含んでいるらしいんですが、案の定知りません。 さらに本書は、「ドゥームズデイ・ブック」なる既刊作品の姉妹編に当たるという情報も読む直前に入手し、未読のわたしは大いに怯んでしまったのですが、これは怯み損でした。 それどころか元祖“ボートの三人男”とのテムズ川でのニアミスのシーンでは、読んでもいないのにワクワクしてしまって、あちらの三人男たち(犬は勘定に入れるまでもなく)の川旅の物語も俄然読みたくなってくる始末で。
著者は、近未来のオックスフォード大学の史学生たちが、過去にタイムスリップして繰り広げる一連の物語をお書きになっているようで、本書はその中の一冊らしい。 主人公たちが歴史の齟齬を修復しようと悪戦苦闘すればするほど、後手後手になっていくというドタバタ劇。 タイムパラドックスと消えた花瓶の謎を主軸に、SFと本格ミステリが融合されたストーリーテリング。 でも、息もつけない一気読み・・というのとは、ちょっと違うかも。 1章毎にゆっくり味わいながら、いつまでも浸っていたいような感じ。 正直、SFや本格に慣れてなくて、難しい理屈や辻褄を追っていくのが面倒になってしまうんですよ(泣) それより、同時代のアリスやホームズはもちろん、様々な古典文学や英国ミステリを肴にしたメタフィクション小説としての側面(それだって堪能しきれてないのが悲しいんですが・・)、更にはなんといっても、牧歌的な優雅さと装飾過多なセンスを誇るヴィクトリア朝の華やぎと様式美が、諧謔心たっぷりに描かれていたことが、わたしを夢中にさせてくれたかもしれません。
エキセントリックなキャラクターたちも、ヴィクトリア朝の申し子のようで絵になります。 “日課の卒倒”とか“ひらひら各種”とか“プチ悲鳴”などなど、ヴィクトリア朝の淑女たちを飾る言葉のセンスは特に秀逸^^ 陰の主役たち犬猫も可愛い♪ “シュレディンガーの猫”さながらプロットの核となるプリンセス・アージュマンド。 一方、タイトルが作品の中での犬のシリルを絶妙に言い表しているかに思えるのも、歴とした魂胆なのでしょうね。 そんなシリルが無性に可愛くて堪らないのです。 主人公のネッドと犬猫が寝床の縄張り争いをするシーンが大のお気に入り^^ 脱線してますが;; 歴史の因果や、その偶然性と必然性のせめぎ合いを、時間SFという舞台装置を使って丹念に織り上げた傑作です。

<参考>
月灯茶会別館
↑ 「犬は勘定に入れません」の中で、引用されていた作品など、拾い集めてリストアップしてくださっています。自分もやろうかと思ったんだけど、リンクさせてもらって満足していてスイマセン。


犬は勘定に入れません
 −あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎−

コニー ウィリス
早川書房 2004-04 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★
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