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日本の神話 / 松谷みよ子
古事記の神代の巻をベースに、古代日本の神々の物語が国生みから、ヤマサチヒコとトヨタマヒメの物語まで連作長編趣向で描かれている。
古事記は簡単な解説本を何冊か読んだことがある程度の知識だけれど、上巻の神々の話が初心者のわたしには一番馴染み深い。 中巻、下巻と徐々に神々と人間との物語、人間(天皇家)の物語へと時代が下っていくと、系図があまりに複雑で頭が痛くなり、人間臭さや生々しい争いの場面も多くなる。 もちろんその中にも惹かれる逸話はたくさんあるのだけれど、やはり、おおらかで無邪気で骨太な神々の物語はよいなぁ〜と改めて思う。
特に日本書紀だと、出雲系の神様たちの扱いが淡泊らしいんだけど、風土記や各地の伝承からも説話を拾って、オオクニヌシノミコトの国つくりの場面も生き生きと描かれていて嬉しい。 古事記の中ではヤマトタケルノミコトが一番人気みたいだけど、わたしは元祖風雲児(?)のスサノオノミコトのファンなので、出雲の神様の話が好きなのです。
“新嘗のお祭りをする、とうとい御殿に、スサノオがくそをしました”と、アマテラスに言いつけられてますからね^^; 大人なのに・・神様なのに・・ ハチャメチャだけど憎めないのよね。
それから、アメノヒボコ(異国である新羅の神様)とオオクニヌシノミコトが遭遇し、最初は争ったが共に国つくりに励むというのもよかった。 うん。こういうのも好きだ。 これは風土記の説話らしい。
ヤマタノオロチを退治して、妻のクシナダヒメと過ごした出雲の御殿での日々・・スサノオが一番幸せそうな時の歌。
八雲立つ 出雲八重垣
妻ごみに 八重垣作る
その八重垣を
そして神代の巻のラストを飾るヤマサチヒコとトヨタマヒメの物語は美しい。 というか離れ離れになったふたりの恋の歌のやり取りがラストというのは心憎い。 山の神と海の姫との恋だものなぁ。
ヤマサチヒコとは、国ゆずりを受け、葦原の中つ国に下ったニニギ(アマテラスの孫)と、コノハナサクヤヒメとの間に生まれた末の弟。 トヨタマヒメとは海底のワダツミの宮に暮らすワダツミノカミの娘。 書いとかないと忘れちゃうので。
わたしは日本の神話がすきです。けれどもわたしが育った時代には、神々は、動かすことのできない歴史として教えられてきました。その思い出は戦争につながり、ある時期、わたしは神話を拒否しました。そうした現象は、おそらくわたしだけではないと思います。
しかしその後、「古事記」や地方神話にふれたとき、日本の神話のおおらかさ、無邪気さ、人間らしさに魅せられました。黄泉平坂にのこるすさまじいまでの人間の愛と真実、母なくして生まれたはずのスサノオが、母をもとめて泣きさけぶくだり、オオクニヌシとスセリヒメのめぐりあい、国引きの雄大さ、コノハナサクヤヒメのかなしみなど、古代人の心が、いきいきと時代をこえて、胸にせまってくるのを感じます。
わたしは、日本の神話と歴史を混同することなく、むかし話をたいせつに思う心と同じ心で、たいせつにしたいと思うのです。
−解説 松谷みよ子 より−
日本の昔話の伝達者であり、その第一人者である松谷みよ子さんの言葉は深い。 柔らかさの中に凛とした意思や品格が秘められていて、背筋を正したくなる。


日本の神話
松谷 みよ子
のら書店 2001-04 (単行本)
“古事記”関連の本
★★★
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