秘め絵燈籠 / 皆川博子
著者初の時代物短篇集なのだとか。 粒揃い。 ねぇ、どうして絶版? どうして文庫なし? もう慣れっこだけど。 言いたくないけども(言ってるよ)。 皆川作品全部復刊してっ! なんて言いません(だから言ってるってw)。 せめてこれは文庫で出しませんか?
生者と死者のあわいから仄かに立ちのぼる切なさや寄る辺なさが、茫漠とした無常観となって、激しい情念を美しく昇華させていくような物語たち。 しみじみと深い余韻に浸っていたくて、なかなか次の一篇を読み始めることができない。
「小平次」のぞわっと甘美な恐怖もよかったし、押し殺された想いのひと揺らぎを淡く儚く残してくれる「鬼灯」も好き。 「折鶴忌」の鮮烈な哀しみに酔った。 いや、十一篇それぞれに酔いしれ果てた。
短篇「小平次」は、鈴木泉三郎の「生きている小平次」をふまえて、さらに当時上演できなかったいわくつきの狂言、南北の「解脱衣楓累」と結びつけてお書きになったとか。 表題作の「秘め絵燈籠」は、泥絵具による迫力ある芝居絵を今に伝える幕末の絵師・絵金に触発されて生まれた物語なのだそうだ。
“死人がふわりとあらわれてくれるので、楽しんで書きました”と、皆川さん。 筆の冴えがホント神懸ってるとしか言いようが・・


秘め絵燈篭
皆川 博子
読売新聞社 1989-12 (単行本)
皆川博子さんの作品いろいろ
★★★★
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