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迷宮百年の睡魔 / 森博嗣
女王の百年密室」の続編。 前作に続き、エナジー問題を解決して物質的豊かさを完全に手に入れた人類が、その豊かさを如何にして内面・精神面へ取り入れられるか模索している百年後の未来を描いたSFミステリ。
今回、辺境ライターのミチルが訪れたのは、周囲を絶壁と高い城壁で取り巻かれた迷宮の島・イル・サン・ジャック。 ちょっぴりオリエンタルな風趣を醸した孤島です。 自主独立を維持した排他的な共同体に眠る秘密と、ミチル自身の背負った運命とが深く共鳴していて、あまりにも複雑すぎる曖昧模糊とした“生命”というものの定義について、存在の根源にまで遡って考えさせられてしまいます。
前作のラストに明かされたミチルの秘密が今回のテーマにもなっているので、順番を間違えずに読むのが得策です。 前作同様、“謎は人の意識の中にある”といった感じですが、前作以上にトリックや動機がテーマと有機的に絡んでいて、メッセージ性もなお強く、ズシっと響く作品なのに、優雅に漂う詩情でコーティングされていて、決して素顔は見せてくれないようなもどかしさが心地よくもあります。
何の権利があって人が人を殺すのかと同じくらい、何の権利があって人が人を生かすのか・・自分は進歩的な人間ではないので、“生きること”の限界への挑戦、未来人が挑む飽くなき知的探求の方向性には、かなり困惑するんだけど、あ〜でも、いつの時代だって歴史の中で、搾取する者、される者、結局は全てが人類の進化の過程に内包されたプログラムなんじゃないかとか思えてきちゃう・・
ミチルのフィルターを通すと、あたかも感情豊かに見えてしまうウォーカロンのロイディの魅力がバージョンアップしています。 自分はけっこう無機愛(?)が強い人間なんで、前作くらいのプリミティブなロイディが堪らなく好きだったりもするんですが、相当に学習効果を上げましたね^^ それこそウォーカロンと人間の違いがなんなのかわからなくなってきちゃうくらい。 ロイディを苛めながら可愛がりながら、ロイディに甘えてるミチル。 まるで2人だけで世界が完結してしまっているような・・寂漠とした孤高の気配をまとった2人が少し切ないです。 でもラストに風穴が開くような明るさが感じられた気もして、この先が気になります。 また新たなミチルの秘密が明かされたし、今度はそこをテーマにした続編・・なんていうのは、もうないのかな?

<追記>
この百年シリーズは三部作の予定らしいですね! 森作品のシリーズものの中で初めて読んだのが本シリーズだったわたしには、ついていけない伏線がいろいろあるようで・・検索していて知りました;; 他シリーズを読んで出直してきます><

<後日付記 ネタバレ注意>
出直して来ましたが、頭の中ぐっちゃぐちゃです・・orz メグツシュカとデボウは真賀田四季の何なのか? ミチルは真賀田四季の娘の何なのか?
低温睡眠による寿命操作、クローン、精神と肉体の分離、精神の複数人格(複数肉体)支配、ウォーカロンの人間化・・と、ここまで生命、個の定義が曖昧になると、もはや“誰が誰”だかきちんとした型に嵌めて把握することが困難と思われ・・思考停止に陥りそうです;;


迷宮百年の睡魔
−LABYRINTH IN ARM OF MORPHEUS−

森 博嗣
新潮社 2005-05 (文庫)
関連作品いろいろ
★★
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