※ ネタバレご注意を ※

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - |
ハバナ奇譚 / ダイナ・チャヴィアノ
[白川貴子 訳] 祖国キューバへの愛憎入り乱れた郷愁と孤独を抱え、亡命先のマイアミで深く憂い迷うセシリア。場所やかたちを変えて現れる幽霊屋敷の謎と、バーの片隅で語られる老女の昔話。二つの時間軸の往来から、やがて立ち現われてくる連綿とした生命の息遣い。
悩める現代女性がアイデンティティを取り戻していく物語なんですが、その苦しみの背景はあまりにも深く重く、わたしなんかが安っぽい涙を流すことは許されないんじゃないかと感じてしまいます。
俗信のまるで異なる文化圏から生まれ落ちた数多の神々や精霊たちの饗宴。超自然的現実は、燃えるような大地のもとで、熱帯の光が演出する魔法のように煌めきます。雑駁であることの豊饒さが香り、またそこへ絶え間なく抒情的なラテン音楽が揺蕩って・・ 各章にボレロの曲名を冠していたり、物語の中にも実在のミュージシャンが少なからず登場していたり、キューバ音楽へのオマージュ的な作品でもあるようなのですが、知識不足が辛いったらないです。
サーガのような構成で綴られていく一族の物語は、キューバへ移住して(させられて)いった、アフリカ系、アジア系と、ラテン系白人との人種の融合、そして文化の融合の歴史でもありました。キューバの3番目の血脈を築いてきたにもかかわらず、これまで扱われ方が地味だったという中国系移民にもスポットを当てた、意義深い作品でもあるんですね。でもどうしてネイティブの血脈は省かれているんだろうと思って調べてみたら、植民地化政策の過程で絶滅に至ったのだということを知りました。(そんなことも知らなかったんです・・) インディオの亡霊が急に存在感を増した思いがしました。わたしにとっては、経験したことのないクラクラするような異空間でした。


ハバナ奇譚
ダイナ チャヴィアノ
ランダムハウス講談社 2008-06 (単行本)
マジック・リアリズム![物語に酔う] (リストマニアより)

| comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
| - | - |
C O M M E N T








トラックバック機能は終了しました。