頭のうちどころが悪かった熊の話 / 安東みきえ
[絵:下和田サチヨ] ほんのり苦味の効いた動物寓話のショートストーリー集です。概念から連想を広げる余地や、眼差しのバランスが素晴らしくて、自然体の温もりと厳しさをじんわり伝えてくれる作品。
人生って、どうにもこうにも割りきれなくて歯がゆいけれど、でもそんなこんなを全部ひっくるめて捨てたもんじゃないなって。ちょっと書いてて気恥ずかしいんですが、森羅万象をまるごと抱きしめたくなるような気持ちに、熊さん、トラさん、ヘビさん、カラス、おたまじゃくし、牡鹿(途中から敬称略してごめんよ・・)たちが、身をもって導いてくれるようなお話ばかり。みんなおバカだけど、人懐っこくて愛おしいんです。
微かに教訓めいた香りも感じなくはないんですが、優等生的なところがないし、かといってシリアスに走り過ぎることもなく。是非、このビターな滋味を大人に味わって欲しいと思いました。前回読んだ小川洋子さんの「猫を抱いて象と泳ぐ」と被るんですが、滑稽な哀愁からは極上の可愛らしさが生まれるんですよね。掌でそっと掬って慈しんでいたくなるような。。。
わたしは一話目の「頭のうちどころが悪かった熊の話」がお気に入りです。このトホホな愛くるしさったらないですよぉん。そしてなかなかどうして、いい夫婦〜w ラストの「お客さまはお月さま」も好き。稲垣足穂の「一千一秒物語」のような楽しさが。2作はどちらも熊さんが主人公。しかもお友達同士♪ 旅人やトラを通して、物語はほんのちょっぴりリンクしています。


頭のうちどころが悪かった熊の話
安東 みきえ
理論社 2007-04 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★
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