花月夜綺譚 / アンソロジー
10人の女性作家さんによるジャパネスクホラーな競演。 怪談集と銘打たれているが恐怖よりムードで酔わせてくれる。 南北朝から戦後あたりまで様々な時代が舞台となり、時代毎の風情が作品毎に楽しめたのもよかった。
恩田陸さんの「一千一秒殺人事件」は、「朝日のようにさわやかに」で読んでいたが何度読んでも好き。 ジャパネスクでありながら、粘りつくような暗さがなくて、まるでシュールなメルヘンのよう。 暗さがないのは森奈津子さんの「長屋の幽霊」もそうで、江戸前のさばさば気質がなんともユーモラス。 岩井志麻子さんの「溺死者の薔薇園」も実は怖いお話なのだけど、どこかヒッソリと滑稽さが漂うような。 逆にこれぞ怪談というのは、山崎洋子さんの「長虫」。 ギヤマンの美しさとそこに宿る情念が見事なコントラストを醸し出していた。 どれもよかったのだけど、中でも霜島ケイさんの「婆娑羅」に最もそそられた。 寄る辺のなさと儚さと・・でも優しくて。 人も鬼、鬼も人という感じが、どこか夢枕獏さんの「陰陽師」を想わせた。

収録作品
溺死者の薔薇園 / 岩井志麻子
一千一秒殺人事件 / 恩田陸
一節切 / 花衣沙久羅
左右衛門の夜 / 加門七海
紅差し太夫 / 島村洋子
婆娑羅 / 霜島ケイ
ついてくる / 藤水名子
水神 / 藤木稟
長屋の幽霊 / 森奈津子
長虫 / 山崎洋子


花月夜綺譚
アンソロジー
ホーム社 2004-08 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★
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