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紅水晶 / 蜂飼耳
新鋭の現代詩人である蜂飼さんによる初めての小説集。“言葉を紡ぐ”ことによって生まれた文章から丹念に織り上げられた空間は、とても美しかったです。
樹木や虫や鳥や魚たちの呼吸音が、しんと深く冴え渡り、喧しいほどの静けさとなって立ち込めています。一瞬の儚い均衡が、永遠の生命を繋いでいくかのように。
まるで空気の震えに呼応するようなレベルで、自分と他者との境界線を喚起させられる想い。それは薄い膜であり、深い溝であり・・他者との距離感を測りかね、模索し続ける女性たち。匂やかなイメージの散りばめられた散文詩のような淡々とした筆致から、めらめらと湧きあがり、抑えても抑えても滲みだして零れてしまう、キリキリとした鋭敏さ、肯定して欲しい焦燥、侵されたくない自己、孤独への脅え・・ 若さから滴る甘苦い樹液をそっと舐め取るような・・生臭さと瑞々しさに掻き回されるような・・そんな気分を味わいました。わたしは、彼女たちとの相性があまりよくなかったのか、上手く共鳴できずに読み終えてしまったのが残念だったのですが、作中に埋め込まれていたハンナ・アーレントの“存在するものは、すべてだれかに知覚されるようになっている”という言葉が深く胸に残りました。


紅水晶
蜂飼 耳
講談社 2007-11 (単行本)
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