京伝怪異帖 / 高橋克彦
若き日の山東京伝が遭遇する怪事件の数々。 その裏には思わぬからくりが仕組まれていたり、生霊や怨霊の影が蠢いていたりと、謎解きとホラーを織り交ぜた連作短編集に仕上がっている。 戯作者である京伝は後にこれらの体験を元にして作品を発表することになるという想定で、実際の作品のメイキング風にストーリーが作られているようなので、わかる人には相当美味しいのではないかな? わたしはとてもそこまで深く味わえなかったのだけれど・・だって山東京伝? Who? のレベルでしたから(恥;;)
好奇心旺盛で物怖じしない京伝を怪異に引きずり込む立役者が風来山人こと平賀源内。 平賀源内・・この方、獄死したというのが定説のようなのだけれど、この物語では天寿を全うし、山東京伝の人生に深く影響を与えることになる様子。 この辺りは歴史ミステリとしてのお楽しみも含まれている(ワカル人にはワカル;;)。 作中“芝居”(はったり?)が何度も見せ場を作り、ちょっと京伝ったら喰われちゃってるかも・・と思うほどに異彩を放ちまくってる源内先生なのである。
この2人を囲む仲間たちは絵師の窪俊満や脚本家の鶴屋南北で、化政文化を盛り上げた錚々たるメンバー・・というのは後で調べました(汗) 彼ら(中でも源内先生)はむしろ“怪”を楽しんでる趣きで物語は進み、しんみりする部分やゾクっとする部分、はたまた政治的陰謀など絡みながらも、全体的に明るく粋で快活なトーンだったと思う。
忘れちゃいけないのが女形役者の蘭陽!(オリジナルキャラだよね?) 彼(?)のボケが笑いのアクセントになって、物語に彩を添えている。
田沼意次のゆるい時代から松平定信の厳しい時代への移行期を生きた文化人たちの内面の葛藤を垣間見せられもした。 京伝負けるなーって気持ちになる。
学生時代に習ったなぁ〜 いわゆるこれが狂歌というやつよね?
白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき
<追記>
ネットをうろうろしていたら、山東京伝はこの物語の2年後に愛妻のお菊を病で失ったのだと知ってしまった。 若き日の京伝とお菊の幸せな物語でもあったのだなぁ・・と改めて想い、ジーンと来たりしている。


 京伝怪異帖 巻の上
京伝怪異帖 巻の下
高橋 克彦
講談社 2003-10 (文庫)
関連作品いろいろ
★★★
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