一日江戸人 / 杉浦日向子
黄表紙作者の直系、絵師の後継者、江戸文化の伝道師であった杉浦日向子さんのエッセンスが詰まっています。お江戸の風俗、風物詩や、江戸っ子たちの生態を自筆のイラスト入りで楽しく紹介し、暮らしに密着した風景を生き生きと伝えてくれるエッセイ集。キリっと軽やかな、気立てのいい文章からこぼれ出す奥深い風趣。江戸っ子が言うところの“粋”と“野暮”が面白いほどよくわかる〜♪
気障と指摘されることをなにより恐れる究極のええかっこしい。バカバカしいことが大好きで辛気臭いのが大嫌い。哀しみが大きければ大きいほど、やけっぱちの笑いに変え、陶酔的な美に託し、ケラケラとチャラチャラと、虫けらのように儚く逞しく生きてきた江戸っ子の格好よさを、わたしも愛してしまった一人なのですが、本書では、そんな彼らのライフスタイルや美意識を、ちょっとおちょくり気味なくらいの愛情を持って愉快に写し取ってくれています。
町人風情のステータス、傾き者や色男のフォルム、美人の移り変わりなどといった様式美の追求が特に面白かったです。デリケートで淡白な味を極めたという食道楽、TPOによって実践されていたという珍妙なまじないの数々、長屋や湯屋の佇まいに相撲見物の様子に、駄洒落出た〜!! などなど。 江戸文化を彩る多岐にわたるトピックが用意されています。
流石に浮世絵や春画がテーマとなると、日向子さんの筆が熱くなる。特に英泉への思い入れの深さは、読んでいてこっちまでキュンとなってしまうほどでした^^
動乱期の英雄譚もよいんですが、太平の世のせこせこした話が、わたしはどうにも好きなんだわ〜と再認識。


一日江戸人
杉浦 日向子
新潮社 2005-03 (文庫)
関連作品いろいろ
★★
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