少女の友 創刊100周年記念号 / 実業之日本社 編
[副題:明治・大正・昭和ベストセレクション] と、副題にはあるんですが、名編集長であった第五代、内山基主筆のもと、中原淳一や松本かつぢが腕を振るった黄金期といわれる昭和戦前期にスポットを当て、エレガントで教養溢れた当時の誌面を再現する形で構成されています。 一時代に偏った編纂ではあるのですが、明治41年創刊から昭和30年休刊まで、48年間受け継がれた編集理念が、最も輝かしく結実した時代として受け止めながら読みました。
幅広く網羅され、かなりタイトな構成で読み応え充分。 表紙、口絵、写真グラビア、詩、連載小説、教養記事、読者文芸欄に至るまで、その流れに沿ってディテールを紹介していくという趣向の中、マニア垂涎という付録の数々も目を楽しませてくれますし、世相と共に紹介される略年譜は資料的価値も有していそうです。
特筆すべきは、人気が高かったという読者投稿欄にページを割くなど、リアル読者の満足度が考慮されていた点と、誌面を飾った作品や記事だけではなくて、携わった編集者の功績がクローズアップされていた点。でも、自社のアピール的なあざとさは全然なかったです。 読者に愛されていた内山主筆(や岩下主筆や森田主筆)の人柄が痛いくらい伝わってくるからか。 新参者のわたしは、もともと中原淳一お目当てで手に取ったのだし、この辺はサッと目を通すくらいで・・などと思ってたのに、気がつけば隅々まで舐めるように読み耽り、胸を熱くしていました。
見せかけの迎合や子供騙しを鋭敏に感じ取る乙女心を裏切らないセンスは、少女たちをよりよく導こうと、作り手たちが知恵と技術を集結して取り組んだ真摯な志しの賜物なのですね。
田辺聖子さんや須賀敦子さんが夢見るような心地で愛読していたというだけで、わたしは飛びついてしまうんですが、色彩がどんどん薄れていく暗い時代に清新な風を届け続け、少女たちに潤いを与え続けたこんな素敵な雑誌があったことがなんだか嬉しい。 他の雑誌が軍事色を強める中、「少女の友」だけが毅然としていたと読者は声を揃えます。 粘り強くしなやかに時勢を掻い潜る内山主筆の手腕と、読者と編集部の強い絆のような連帯感がとっても眩しかったです。
イミテーションとして、当時の広告がいろいろ掲載されているのにも大喜び♪ そこまで喰いつくのか!と自分に突っ込みつつ隈なく捕食。 エジソンが常に愛用していたという“エヂソンバンド”なる健脳器とかね^^
それにしても・・ 淳一の美的感覚は色褪せないです。 一冊くらい淳一(の表紙)号が欲しいナッとか軽い気持ちで思ってたら、古本屋にも滅多に出回らない高嶺の花なのだそうで。 販促用の栞一枚でいいから欲しい・・ そうか作ればいいのか。「本棚探偵の回想」の喜国方式を採用して。 個人で楽しむ分にはいいんですもんね??
連載小説の第一回目だけ掲載されていた川端康成の「乙女の港」は、ハァハァしそうなエス系の耽美小説。 続きが激しく読みたいです。

<補足>
“エス”とは。 女学生同士の疑似恋愛的な友情関係。 “男女七歳にして席を同じうせず”といわれた時代に花開いた女学生風俗。 お姉さまと妹が一対一の契りを結ぶのが鉄則。 とな。


少女の友 創刊100周年記念号
−明治・大正・昭和ベストセレクション−

実業之日本社 編
実業之日本社 2009-03 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★
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