終りのない紡ぎ唄 / 岸田今日子
[副題:ギリシャ神話の女たち][絵:東逸子] ギリシャ神話に登場する15人の女性たちを描いたショートストーリー集。 焼き直し的なお話というよりは、神話世界をそのままに、行間に香るエッセンスで女性像を膨らませ、岸田さんの言葉で物語を綴られてる感じ。 瞬発力のあるイメージの喚起と深い余韻をもたらしてれる、詩情豊かな作品集でした。
汲めども尽きぬ泉のように湧き零れる愛と欲望のコラージュ。 抑制を保った文章の中で、ふと奥底に秘めた感情の欠片が弾けてズキンとくる感じがよかったです。 蠱惑的な艶めきと、茫漠とした虚しさが交錯するような一瞬。
アフロディテが海の泡から生まれた経緯は初めて読んだかもしれないですが、ヘラ、パンドーラ、デメテル、エコー、ダフネ、メディア、プシュケ、ヘレネ、ペネロペなど、馴染み深い女神や女人たちばかりですし、有名どころの物語が揃っているので、内容的には手に取り易いと思います。 喰い足りなさがないの。 手元に置いてバラバラしたい雰囲気なんですよねぇ。
ギリシャ彫刻のように端正で、それでいて匂い立つように神秘的な、東逸子さんの挿絵との相性もよくて、とっても素敵な一冊でした。 時の彼方に取り残してしまうのは本当に勿体ない。 文庫になったら絵が惜しいけど・・ お手頃なサイズ&価格で復刊して欲しいなぁ。


終りのない紡ぎ唄 −ギリシャ神話の女たち−
岸田 今日子
中央公論社 1984-09 (大型本)
岸田今日子さんの作品いろいろ
★★★
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