蹴りたい田中 / 田中啓文
2004年、「蹴りたい田中」で茶川賞受賞後に、謎の失踪を遂げた孤高のSF作家・田中啓文氏を偲んで編纂された遺稿集。 ぶっ。
田中さん初読み。 どうなのこれ? わたしとしては凄んごい面白かったんだけど。面白かったー! って叫んでいいのこれ? ふと我に立ち返ると、そんな自分に、そこはかとない恥ずかしさやら哀れやらを催してムズムズくるんだけども、この生暖かく後ろ暗い愉楽が、けしからんことに癖になりそうで;;
超訳すると、オマージュとも、パロディとも、色物ともいえるSF短篇集です。 全ては“これがやりたかったのかっ!”となる駄洒落オチに収束され、ラストの脱力的カタルシス(えっ!)に到達できた読者は幸せってもので、そうじゃなかった読者には、心からお見舞いを申し上げたいです。
とはいうものの、俺の庭だぜっ! 的にやりたい放題、突き抜けた奇想&お馬鹿ギミックが詰め込まれているのも好感触。 パロディ短篇としてなかなかに面白い作品が揃っていたと思うのです。 B級っぽさがたまらんし。 でもやっぱ好き嫌いあるね。意味を求めたら報われないし、若干グロ注意。
各短篇には、執筆系諸氏からの寄稿文が添えられ、これがいい感じで作品を補強していて、元ネタ周辺に明るくなくても自然と取っつき易くなれたり、短篇に入る前段で、“SFとはワイドスクリーン・バロックだー! サイバー・パンクであってたまるものかー!”かなんか蘊蓄を捏ね繰ってるんだけど、田中さんのSFに対する姿勢というか美学というかが、ここで手っ取り早く掴めて、作品に入っていきやすかったんだよね。もっと読みたいw


蹴りたい田中
田中 啓文
早川書房 2004-06 (文庫)
関連作品いろいろ
★★★★
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