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北神伝綺 / 大塚英志 + 森美夏
大塚英志さんの同名の小説を森美夏さんの作画でコミカライズした作品。 民俗学の始祖である柳田國男のダークサイド的な物語でもありました。 昭和初期、国粋主義が勢いを増す中、柳田が切り捨てた裏の民俗学領域を引き受けた異端の“邪学者”が見つめた正史の闇。 かつて柳田が提唱した、日本の先住民の末裔である“山人”をめぐり展開される伝奇&歴史ミステリ。
宮沢賢治の15冊目の手帳、北一輝の霊告日記の原本、伊藤晴雨の責め絵と竹久夢二の抒情画のモデルを同時期にこなしたというお葉の怨霊、甘粕正彦と李香蘭秘話などなど、あっ、乱歩も登場します。 でもやはり、国家と自説の間で自己矛盾に陥っていたであろう柳田國男の懊悩とは如何ばかりだったか・・というところに一番気持ちが残りました。 島崎藤村の“椰子の実”の一節が、柳田の心情と響き合うようで、著者の柳田に対する幾ばくかの愛惜が込められているように感じられ、熱いものが込み上げたり。 賢治や夢二が時代に抗うように、ひっそり逝ってしまうのと、なんとも言えないコントラストをなしていて・・
著者は本書の主題を“国家の歴史への違和の表明”と言明しているとおり、大和民族による選民思想を強める大日本帝国で、勝者の歴史として捏造された正史の裏で、歪められ、抹殺されていったもう一つの歴史を明るみにしていく趣向で、とても興味深かったですし、力によって築かれた歴史にメスを入れる話は好きです。
異様な熱に浮かされた時代の暗黒面がざわさわと押し寄せ、脳裏に絡まり付いて離れないです。森美夏さんの絵が凄烈なのもあるかな。 銀座界隈を中心に昭和の消費文化が華開き、女学生たちが清く正しく美しく生きていた「街の灯」や「俳風三麗花」と同じ時代ですもんね・・ なんと陰影の濃い時代だろう。


北神伝綺 上北神伝綺 下
大塚英志 + 森美夏
角川書店 2004-09 (単行本)
関連作品いろいろ
★★
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