悲華 水滸伝 / 杉本苑子
水滸伝関係は読んだことがなかった。 活劇ものがあまり得意ではなくて、特に水滸伝は“血生臭い”“男臭い”というイメージに凝り固まっていたので。 この水滸伝は読書のお仲間さんに勧めてもらって手にとったのだけれど、どんぴしゃで肌に合いました。
官軍に抗した百八星が、梁山泊に集うまでの高揚感に満ちた痛快な前半部よりも、梁山泊を捨て官軍となった百八星が、方臘との戦いの中で、次々と散っていく終盤が女性ならではのなんとも美しい筆致。 散りゆく者、残された者の哀切、寂寥感が細やかな優しさに充ち満ちて描かれる。
英雄たちはなぜ梁山泊を捨てたの? 何のために戦っているの? それはもう、星に導かれた運命としかいいようがないのだろうか・・ ひたすらにただただ切ないのだ。 それでいながらラストは、甘美な幻想の中から立ちのぼるカタルシスに包まれる。
杉本版は、原典で面白くないとさえ言われるらしい終盤を耽美な物語に蘇らせ、そこにこそ醍醐味を持ってきてる感じ・・かな。 水滸伝に尻込みしがちな女性読者には是非に! という逸品でした。


悲華 水滸伝 全5巻 (単行本は上中下巻)
杉本 苑子
中央公論新社 2001-05〜09 (文庫)
杉本苑子さんの作品いろいろ
★★★★

| comments(0) | trackbacks(0) |
C O M M E N T








http://favorite-book.jugem.jp/trackback/51