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侠風むすめ / 河治和香
[副題:国芳一門浮世絵草紙] 玄治町に居を構える歌川国芳とその門下の弟子たち周辺の浮世模様を描いたシリーズ一作目。 一門の能天気でカラっとした笑いや、青春の甘やかさやほろ苦い心象風景が、国芳の娘で絵師でもある登鯉の目を通して活写されます。 江戸風俗を掬いとるタッチが瑞々しい。
各章扉には、本編に因んだ浮世絵が添えられていて、お陰でイメージを喚起しやすかったのが好感触。 国芳画塾の気風を伝える河鍋暁斎の「暁斎幼時周三郎国芳へ入塾の図」からは、社中の活気や奔放さ、師匠の温かさや懐の深さが、余すところなく汲み取れる気がします。(国芳の傍には猫がいっぱいw)
舞台となる天保10年代は、水野忠邦による改革の嵐が吹き荒れ、雨のように “御触れ”が降ってきたという御時世。 しかし既に爛熟、頽廃に傾く世の中の流れを食い止めるのは手遅れで、あらゆる“ゆとり”をもぎ取られた庶民は、なおいっそ捨て鉢な明るさを纏い、無頼に染まり、いよいよ内側へと驕奢に淫靡に揺らめいていく・・ そんな江戸末期の不安な世相が鮮やかに映し出されています。
国芳の水滸伝豪傑シリーズの武者絵がきっかけとなって総身彫りが主流になり、ブームに拍車がかかる彫りもの文化や、風流に信心が結びつき、凝った千社札に嵌っていく庶民の様子などが物語の中に巧みに取り入れられています。
御禁制を掻い潜りながら、猫や子供に見立てて芝居絵を描いたり、憂いをパロディにして笑い飛ばしたり、幾ばくかの諷刺を込めて世に送り出された国芳の戯画は、江戸庶民に熱狂的に迎え入れられていくのですが・・
初めて出逢う江戸言葉が結構あって。 とってつけたような解説も殆どなくて、前後の脈絡でふむふむ味わっていく感じ。 ちょっと通気分^^ 良作。


侠風むすめ −国芳一門浮世絵草紙−
河治 和香
小学館 2007-05 (文庫)
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