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やんごとなき読者 / アラン・ベネット
[市川恵里 訳] エリザベス女王が読書に嵌ってしまったら・・というシュミレーション・コメディなんですが、今生陛下をネタに小説が出版されるってだけで、王室を取り巻く明け透けな気風が感じられて思わずドギマギします。 日本は宗教ネタならブッ飛んでる自信があるけど、ここはデリケート領域ですから。
個人秘書や侍従たちの渋り顔もなんのその。 公務も上の空に、超然と(マイペースともいう)読書道を一路邁進する姿は、それこそ女王の風格♪ 感情を抑制すること、好みを持たないこと、義務は喜びに先立つものと教育され、忠実に実践してきた女王陛下が、晩年になり、読書を通して人間性を培い、やがては書くことを通して自己表現に目覚めていく姿を好意的に描きます。 諷刺とウィットが効きまくってますけど、黒っぽさは全くなくて、ククって笑えるような和み系なので、大らかに楽しめる作品でした。
惑溺ぶりが微笑ましいんです。 本好きにはお馴染みのあるあるネタ(?)風で。 読みたい本リストを作り始めたり、かつては退屈と思えた小説が時間を経て読んでみると輝きに満ちていることに気付いたり、一冊の本は別の本へとつながり、次々に扉が開かれてゆく感覚とかね^^ 
本国ではきっとここってニヤリポイントなんだろうなぁ〜っと、笑いの尻尾は掴めるんだけど・・みたいな歯がゆい箇所が多々あるにはあります。それを差し引いても面白いんですが、英国の社会や文化、特に文学やゴシップなどに精通していれば無敵。
ビギナーの女王は、どんな本でも予備知識なく、偏見を持たずに接していき、忌憚のない率直な感想を口にします。 自分にはもう出来なくなってしまった読み方だなと、一抹の寂しさを覚えつつ、初心に立ち返りたいような想いに駆られたり。 せめて、今更・・などと臆せずに、女王の心で(!)放置してきた古典に親しんでいけたらいいな。 晩学の徒であっても決然と! ムリ?w
新井潤美さんの巻末解説で、知的ではないことがイギリス上流階級人の美徳の一つとみなされるという論調が紹介されているんですが、これは、“そういう自虐的、韜晦的ポーズをとることが美徳”って意味でお書きになられているとわたしは思うんですけど・・違うの?


やんごとなき読者
アラン ベネット
白水社 2009-03 (単行本)
関連作品いろいろ
★★
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