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昨日のように遠い日 / アンソロジー
[柴田元幸 他訳・柴田元幸 編][副題:少女少年小説選] 柴田セレクトならではの、心躍るラインナップ! いわゆる“少年少女小説”の括りから弾け飛んでしまったような、鮮烈な感覚性や斬新さを湛えた作品を揃えた選集で、うちの図書館ではティーンズに振り分けられてますが、むしろ“大人のための〜”に近いんじゃないかな。 削ぎ落とされたガールズ&ボーイズのエッセンスが芳香します。
広い世界の限られたポジションに安息を見出すのが大人だとすると、子供時代って、狭い世界で無限を見据えているようなところがあって、その歪みや危うさ、切実さや清冽さ、孤独や頼りなさ、生硬さや滑稽さが、かけがえないものであったことを知らしめられる。 戻りたいとは思わないけど、戻れないからこそ、慈むことのできる記憶のあれこれを間断なく呼び起こす物語たち。
柴田さんは今回、ダニイル・ハルムスの紹介に熱意を込められていたようにも感じました。 選出されているのは詩と掌編なのですが、不条理感とウィットが手を取り合ってダンスを踊っているような味わいが忘れられそうにありません。 そして本書のタイトルが・・ これはもう、ハルムスと柴田さんの息の合ったコラボなんです♪
ミルハウザーの「猫と鼠」は、超細密な描写で書き起こされた(恰も)トムとジェリーの追い駆けっこ劇から、可笑しくて哀しい精神性を引き出した傑作で、大好きです。 (ルパンと銭形警部の関係性を思い浮かべた・・)
女子学生寮の蠱惑的な力学を描いた「パン」もお気に入りの一作。 レベッカ・ブラウン、実は初読みだったんですけど、いいですね〜。 刺激がツボでした。 もっと読んでみたい。
鋭利でグロテスクで瑞々しい少年期の目線に頬を張られた気がしたアレクサンダル・ヘモンの「島」。 飄々と恍けた簡素さの中に思春期を描破したユアグローの「大洋」も好み。 というか、一作(か二作か三作か四作か・・)を挙げることが苦行。
そして、ユアグローの「大洋」で漕ぎ出して、デ・ラ・メアの「謎」で仕舞われるという、短編集を一篇の物語に作り変えてしまう企みに、ほぅーっとため息。
ノスタルジックなアバンギャルドがギュッと詰まっていた特別付録の新聞漫画2作に触れられたことにも喜びを感じます。

収録作品
大洋 / バリー・ユアグロー (柴田元幸 訳)
ホルボーン亭 / アルトゥーロ・ヴィヴァンテ (西田英恵 訳)
灯台 / アルトゥーロ・ヴィヴァンテ (西田英恵 訳)
トルボチュキン教授 / ダニイル・ハルムス
 (増本浩子、ヴァレリー・グレチュコ 訳)
アマデイ・ファラドン / ダニイル・ハルムス
 (増本浩子、ヴァレリー・グレチュコ 訳)
うそつき / ダニイル・ハルムス (増本浩子、ヴァレリー・グレチュコ 訳)
おとぎ話 / ダニイル・ハルムス (増本浩子、ヴァレリー・グレチュコ 訳)
ある男の子に尋ねました / ダニイル・ハルムス
 (増本浩子、ヴァレリー・グレチュコ 訳)
猫と鼠 / スティーヴン・ミルハウザー (柴田元幸 訳)
修道者 / マリリン・マクラフリン (小澤英実 訳)
パン / レベッカ・ブラウン (柴田元幸 訳)
島 / アレクサンダル・ヘモン (柴田元幸 訳)
謎 / ウォルター・デ・ラ・メア (柴田元幸 訳)
眠りの国のリトル・ニモ / ウィンザー・マッケイ (小澤英実 訳)
ガソリン・アレー / フランク・キング (小澤英実 訳)


昨日のように遠い日 −少女少年小説選−
アンソロジー
文藝春秋 2009-03 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★
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