鏡の国のアリス / ルイス・キャロル
[岡田忠軒 訳] チェスの対戦に準えた鏡の国の冒険ストーリー。 言わずもがなですが・・ おませなアリスと風変わりな鏡の国の住人たちの遭遇のお話は、なんてチャーミングなんでしょう♪ 愛され続けるわけです。 昔読んだのは偕成社版だった気がしますが、もう手元にありません。 頭の中でキャラクターたちがとっ散らかってましたが、こんな風に繋がっていくんだっけ・・と感慨も一入。
いろんな刷り込みもあって、“キャロルとアリスのお別れの物語”みたいな色眼鏡をかけて読んでしまいました。 あくまで一つの読み方としてですが、甘やかなペーソスを底流に感じることで、物語がより豊かな表情をみせてくれたように思え、一層好きになりました。
鏡の中の“元の部屋から見えない部分”が暴走していくようなお話です。 “自分の周囲を同時にすっかり見ることはできない”というロジック辺りに鏡の国の秘密が見え隠れする気配。 アリスの夢の中なのか、赤の王様の夢の中なのか・・互いに入れ子になったような構造的イメージや、反対へ歩いて行くと出会えるとか、まだ起こらないことを思い出すとか、パラドックスに満ちて取りとめもなくこんがらがっているのに、難解な数学の概念の迷宮を回遊するような、ちょっぴり悪魔的な、得体の知れない秩序や摂理に誘惑される心地。
詩の訳に定評のある角川文庫(岡田訳)で読んでみました。 韻律、駄洒落、屁理屈、揚げ足取りといった言葉遊びの妙味には、訳者の御苦労が窺えました。 表紙は違いますが、中身の挿絵は(10枚ですけど)テニエルです。 初版が1959年。 古風な中に洗練され過ぎない粗らかさ素朴さがあるような・・ 古いですが良訳だと思います。


鏡の国のアリス
ルーイス キャロル
角川書店 1959-10 (文庫)
関連作品いろいろ
★★★★
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