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薬屋のタバサ / 東直子
とりつくしま」を読んだ時、温かさや切なさに紛れ込んで、背中をざらりと撫でられるような怖さを感じた覚えがあって、東さん、タダモノではない気がしてたんですけど、あれと同じ匂いが本領発揮されている感じ。 喪失感と泡沫の命の血潮が不毛な渦を巻いて、ひんやりとねっとりと淀んでいるみたいな。 生は死を、死は生を内包し、どうしようもなく押し進められていく生命の歯車。 古い建物や樹木の呼吸音と、人や蝉の儚い鼓動の対蹠が、モラトリアムでトワイライトな磁場の輪郭を際立たせているかのようでした。 緩慢に弱りながら、仮初の安心感の中で生き続ける倦怠が遣る瀬無く重い。 でも、豆を煮る、生イカを貪る、赤い口紅を引く・・ そんなシーンの一コマ一コマが鮮烈に焼きついて離れない。
吸い込まれるように人が消えていく、生命感に欠けた影のような町。 知らないうちにこんな町で暮らしていたら・・ 心象風景を映し出す鏡としての町が、こんな風に変質していることに気づかずに生きていたら・・ 或る日突然“ころんでいる”んですね。 自分を消し去りたいと願う女性が呼び寄せ、取り憑かれ、身を委ね、呼応した抗いがたい何か。 全てが彼女の幻覚とも思えてしまいます。 それでも命は産み落とされ、朽ち果て、記憶を蓄積させながら無情に時は刻まれ続けるばかり。


薬屋のタバサ
東 直子
新潮社 2009-05 (単行本)
関連作品いろいろ
★★
| comments(2) | trackbacks(1) |
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C O M M E N T
やっぱりホラーなのでしょうね。
なぞはなぞのまま終わったのでわからないことが多くて不満です。
トラックバックさせていただきました。
| 藍色 | 2010/11/02 |

ありゃ、ご不満でしたか。掴みどころがないですもんねぇ。
ホラーじゃないかもしれないけど、もやんと怖かったです・・
自分はかなり好きです^^;
| susu | 2010/11/03 |









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