触身仏 / 北森鴻
東敬大学助教授で異端の民俗学者・蓮丈那智と、それに翻弄される気弱な助手の内藤三國が事件×民俗学の謎を解くシリーズ2作目。
軽く女王様と下僕の師弟萌え度が増してる気が・・ 前回よりも取り扱われる民俗学的事象が素人好みな感じだし、お手柔らかになってる気がします。 同時に那智&三國までもが素人っぽく見えてきちゃったのが玉に瑕。 奇を衒った推論の域ではありますが、一考の価値はありそうなエキセントリックな仮説がたっぷり披露されています。 そして御宮入りファイルは増えていく・・
古代製鉄文化とか三種の神器辺り、北森さん、耕しますねー。 リサイクル率が高い^^ でも学習能力の低いわたしとしては、新規ネタに関連して使用済みのネタが復習のように出てきてくれるのは有難いです。
東北の山村に伝わる一風変わった山人伝説を調べたり、死と破壊の神であった大黒天が福々しい豊穣の神に転化させられた訳や、海幸彦山幸彦の神話から八尺瓊勾玉に込められた真意を掘り起こしたり、日本書紀の菊理媛神と塞の神や道祖神との関連性を示唆したり。
記録と封印という二律背反の宿命を負う古文書や説話の読解・考察のベクトルが、ややパターン化されてたかなぁーという感じはあったんですけど、元々、神話や民話の寓意を読み解く話は大好きなので興味深かったです。
凶笑面」を読んだ時にも引っかかってるんだけど、大国主≒大和朝廷って前提で話が進んでいくのが気になってならないのです。(出雲王朝は大和朝廷に相対する側だと理解してきたので・・) 北森さんは盛んに素戔鳴尊から大国主への国譲りというのを強調するけど、大国主から天照大神の子孫への国譲りの解釈はどうなってるんだろうか・・という疑問がまたぞろ膨らんで落ち着きが悪いのです。 納得させてはもらえないものか。
ひとくさり語ってますけども、このシリーズ好きです。 答えがどこにもないことを知りつつ、考証を重ねていく過程そのものが民俗学であり、民俗学とは混沌の海の中に光を当てようとする作業なのだという言葉が印象的です。 シリーズを通してもっともっと、触ったことのないロマンを体験させて欲しいなぁ。


触身仏 −蓮丈那智フィールドファイル2−
北森 鴻
新潮社 2005-07 (文庫)
関連作品いろいろ

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