吉原手引草 / 松井今朝子
吉原に係わる多方面の人々・・引手茶屋の内儀、見世番、番頭、番新、大籬の楼主、遣手、床廻し、幇間、女芸者、抱え船頭、指切り屋、女衒、新造・・などなど(これらの言葉に馴染みがなくとも作中で解説されているので大丈夫)総勢17名(かな?)の語りによって物語が進む。 彼らはまるで“吉原ツアー”の水先案内人のよう。 窮屈なスタイル(手法)にも係わらず、花街の内実や因習の考証が微に入り細に入り、見事な吉原像を結実させている。 謎の先がなかなか見えてこないのだけれど、それぞれの語りが面白くて興味深くて全く飽きさせない。 読み進めると、あの人の語ったあの事が伏線になってたんだなーとミステリの楽しさも膨らんでくる。 ピースが揃った終盤は一気に種明かし。
吉原解説本として一級品であると同時に、ストーリーはすこぶるエンタメ性が高い。 直木賞のお手本という感じがする。 多種多様なしきたりにも多種多様な抜け道があり、喰ってるようで喰われていたり、芝居が真実に、真実が芝居になり得る郷。 人と人の綾が織り成す吉原絵巻を堪能した。


吉原手引草
松井 今朝子
幻冬舎 2007-03 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★
| comments(2) | trackbacks(1) |
C O M M E N T
お久しぶりです。最近、ようやく読みました。
吉原解説本であると同時に、上品なミステリでした。
様々な職種、その言葉遣い、文化に役割、面白かったです。
時代小説によく出てくる吉原ですが、知らないことがいっぱいでした。
| 香桑 | 2011/05/13 |

香桑さん、お久しぶりです〜
江戸遊郭への上質な案内本でしたねぇ。

この小説を機に、わたしの中でプチ吉原ブームが起こってたような^^
ちょうど同時期に刊行されていた宮木あや子さんの「花宵道中」も評判よくて、
どっち派? なんて盛り上がってた記憶があります。
松井さん、最近また吉原をお書きになってますね♪ 読みたくなってきましたっ!
| susu | 2011/05/14 |









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吉原手引草
松井今朝子 2009 幻冬舎文庫 たまにしか時代小説は読まないが、そこに描かれる吉原は随分と華やかな場所だ。女郎が囲われる苦界であるはずだが、花魁たちの豪勢さばかりが目立つ。先日、浮世絵の展示を続けて見に行った。歌川広重「よし原日本堤」だったか。ほかにも
| 香桑の読書室 | 2011/05/13 |