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シカゴ育ち / スチュアート・ダイベック
[柴田元幸 訳] 最近、読書の時間作りができなくなっていて、ちまちまと細切れに読んでいる状況です(泣) そのためか、どうにも終始モチベーション不足なのが辛いところ。 この本は一気に読みたかったかも・・と思いました。 絶対に味わい尽くせてない自信があるので、いい小説なだけに心残りなのです。
独立した短篇集ですが、シカゴという街を主人公に据えた連作の趣き・・を通り越して、一篇の作品として結晶化しているというか、同じ一続きの街が一断片によって結びつき、泥臭くて美しい、不思議な奥行きと広がりを見せてくれるのです。 イメージを立体的に膨らませて頭の中に街を構築していく作業に、あぁ〜、もっと没頭したかったです。 それでも、生きたことのない時代の、行ったことのない街の気配が、脳裏に充満してくる感覚は得難いものがありました。
1950年代(あるいはもう少し後?)のシカゴの下町を舞台に、東欧系移民(大体三世くらい)の少年たちのリアルな息遣いが活写されているのに、なんでこんなにも詩的なんでしょうか。 瓦礫と化した過去と拘束に過ぎない未来の狭間で迷子になっているような心許なさと、風が吹き抜ける一瞬、心に留め置く輝きを謳いあげた力強く繊細な、まさに詩のような作品でした。
ガード下の音楽、工業廃棄物の臭い、ダウンタウンの高層ビル群、偏見や貧困、ポンコツ車でかっ飛ばす湖岸高速道、ワイルドなブルース・シャウト、ホワイトソックス、酒場のデュークボックス、ラジオ、ドラッグ、ロックンロールとポルカ、やがて伝説となる噂・・ 移民たちの民族的な血と、アメリカンなニューウェーブによって織り成された、移ろいゆく一時代の風景です。 叫声や軽口に取り紛れて、その奥でひっそりと深く悲しい思いを共有しているような雰囲気が通奏低音のように響いている・・
「冬のショパン」と「荒廃地帯」が大好き。 ただしつこいようだけど、親和しきれずに掴めそうで掴みそこなった短篇を放置したまま読み進めてしまいました。 集中力不足(ばかりでもないけど;;)が悔やまれます。


シカゴ育ち
スチュアート ダイベック
白水社 2003-07 (新書)
関連作品いろいろ
★★★
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