※ ネタバレご注意を ※

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - |
まほろ駅前多田便利軒 / 三浦しをん
続編(番外編?)を読むにあたり念のためと思って再読したらば、気味悪いくらい記憶の導線に火が点かなくて、年明け早々したたかショゲました・・orz しかもメインストーリー上どうでもいい瑣末な萌え要素に限ってピンポイントで発火するものだから益々凹んでたんですが、ま、とにかくも読み直して正解だったし、初読み気分を満喫できたってことで、力づくで前を向きたいと思います。
舞台となるのは、東京の南西部に位置する“まほろ市”という(モデルは明らかな)架空の街。 駅前の古ぼけたビルの一室に事務所(兼自宅)を構える“多田便利軒”。 地元密着型の便利屋を営む主人公の多田と、そこへ突然転がり込んで居座り続ける元クラスメイトの行天コンビ。 チワワの里親探しやお見舞い代行や納屋の整理、生意気小学生男子を塾に迎えに行ったり、マスコミに追われる女子高生を保護したり、顧客の煩雑な依頼を通して世知辛い現代社会の歪みが垣間見えるのですが、人と人との小さな交感という熾火のように微かな温もりによって、殺伐さが心なし和らぐ情景がいいんですよねぇ。
内面に空虚を抱える野郎2人(共にバツイチ)の奇妙な同居生活と仄かな友情を絶妙のタッチで描き、腐女子(自分も含め)の餌食になれば明らかにBLブレンドなところを、群像っぽい骨太さによってそれとなく相殺させて、間口の広い高クオリティなエンタメ作品に仕上げてくる辺りが憎いです。
駅前の繁華街や郊外の住宅地、文化の澱が淀む都市のダークサイドの泥臭い地場の空気など、様々な顔を持ったまほろ市を多角的に活写する街小説としての水平軸と、トラウマ持ちの多田が自己の心の深部へと潜る旅をして引き返してくるという垂直軸とが、便利屋の日常業務の中で交差しながら物語は進行し、それに連れて多田の生命感のような存在感のような、徐々に実体を伴った強い輪郭が浮き上がってくる手応えが感じ取れます。
キャラもみんな個性的。 バスの間引き運転疑惑に取り憑かれている旧家の岡さんがお気に入りです。 あの爺さん好きよw 何気に多田と行天の出逢いをアシストしているところがミソ^^
街、仕事、友情、成長・・と織り交ぜつつも、全体としての纏まり感も良いし、重過ぎす軽過ぎず、重点の置き具合でいろんな表情が楽しめそう。
自分は主役の2人について語りたい派です。 悩める常識人で世話焼きの多田が、飄逸の非常識人だけど天衣無縫なところがあって憎めない行天に、ペースを乱されながら満更でもなく振り回される王道的構図。 そこから醸し出される面映ゆいぞんざいさ。 元来の生真面目さや人の良さが、諦念の中から顔を擡げて生き辛くなっている自身を恥じているかのような多田と、しなやかさと希薄さ、冷酷さと優しさをアクロバティックに内在させるノーガードで傷だらけの行天。 荒療治の如きに多田の枷をときほどいていく行天と、剥き出しの傷口を包んで寄る辺ない行天の港となる多田。 お互いの効き目が鋳型のようです( ´艸`)
過去の傷を多田は意識に投影させ、行天は無意識に投影させ・・そんなイメージ。 哀愁滴らせる野郎二匹が、人生そう悪くもないよって感じさせてくれるのがよいんだろうな。 小指の“白い糸”で結ばれてる二人・・ ここ狙いましたね?


まほろ駅前多田便利軒
三浦 しをん
文藝春秋 2009-01 (文庫)
関連作品いろいろ
★★★

| comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
| - | - |
C O M M E N T








トラックバック機能は終了しました。