※ ネタバレご注意を ※

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - |
神を見た犬 / ディーノ・ブッツァーティ
[関口英子 訳] ブッツァーティワールドのポータルサイトに当たるといわれる再編短篇集から22篇を訳出、編纂したもので、魔術的幻想文学の書き手として名高い著者の、テーマ性も創作時期も満遍なくカバーされた一冊・・なのだそうです。 あとがきで知って驚きました。 印象がマチマチにならないばかりか、巧みな連なりを感じさせる流れがあって、構成があまりに美しかったから。
悪趣味な天使のデザインによって立案された人間という生命体が、神の気紛れで地球上に繁殖することを承認された経緯が語られる一話目の「天地創造」。
最初にこの短篇が挿入されていることで、多彩な一篇一篇が、中途半端な知恵のもたらす定めとして、幸福を求める掛けがえのない滑稽劇として、緩やかにたわめられ、作品全体に統一感が生まれてくるのです。 ちっぽけで愚かな人間の営みの全てをまるっと鳥瞰しているかのような神の目線を意識しながら読み進めていく感覚でした。
終末観と隣り合わせのようなペシミズムが通奏低音のように響いていて、胸がざわざわと掻き乱されるような焦燥感や、奈落の底を覗いてみたいという誘惑、触れて欲しくないところをざらりと撫でられるような居心地の悪さ、そして、そこはかとないアイロニーに充ち満ちているのに、決して突き放すような冷たい眼差しではなくて、むしろダメな子ほど可愛い的な愛惜の想いに駆られたり、チャーミングな隠し味が絶妙なタイミングで散りばめられていたり(特に聖人たちがツボ♪)と、醒めた明るさや奇妙な温もりさえ感じさせる美質な物語世界は、まるで生命の脈動そのものであるかのようでした。
見栄と罪の意識が錯綜する呪縛狂想曲さながらの表題作「神を見た犬」と、「七階」の放つ痛烈な不条理と生温かい残酷さが特に忘れられないです。


神を見た犬
ブッツァーティ
光文社 2007-04 (文庫)
関連作品いろいろ
★★★
| comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
| - | - |
C O M M E N T








トラックバック機能は終了しました。