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クライム・マシン / ジャック・リッチー
[好野理恵・他 訳] 楽しかったー。 生涯に350余りの短篇を書き続け、その一貫して無駄を削ぎ落としたスタイルによって、多くの玄人ファンを魅了したといわれるリッチー。 短篇の名手に相応しい面目躍如たる傑作集です。
詐欺師や殺し屋やダークな精神分析医か跋扈するクライム・ストーリーはどれも、奇抜な着想、練り上げられたプロット、ツイストの効いた華麗な着地という三拍子を決して踏み外さない。 自分の型に拘り抜いた安定感のあるクオリティ。 職人芸と評される所以がわかる気がしました。
騙りによるミスリードでカムフラージュされた黒幕にハッとなったり、狡知を逆手にとるような企みにほくそ笑んだり。 切れ味あるウィットをベースにしつつ、簡潔に描かれる人の狭量さにゾクっとなるような手触りが、素っ気なく醸しだされていたりもする。 ロマンというには毒があり、悪というには気品あり茶目っ気あり・・そのあわいを縫うようなスマートな空気感。
ピースの嵌るカチッという音が聞こえそうなくらいに鮮やかな急転直下のオチに喫驚しながらも、結末の斜め上を行くような「クライム・マシン」の余韻や、どこか文学的な凄味さえ放つ「歳はいくつだ」の余韻も素晴らしい。 一番ニヤニヤしたのが「エミリーがいない」。 このオフビート加減はツボ♪ 対話劇に仕込まれた巧妙な技が光る「罪のない町」も好みだし、物語として読ませる「デヴローの怪物」は最終話に相応しい抒情を備えた名品。
リッチーが創造した2人のシリーズキャラクターが活躍する短篇も収められています。 豊かな想像力の無駄遣い(笑)なヘンリー・ターンバックル部長刑事もの2篇と、訳あって夜間しか営業できない(笑)私立探偵カーデュラもの4篇。 こんなキャラを待っていたのーって小躍りしたいくらい、わたしのハートを擽りのめしてくれた2人。 彼らの登場作品を全部読みたい〜。 連作集をそれぞれ編纂してくれないものか。

<追記>
文庫版は収録内容が若干異なるらしいです。 カーデュラものが外されて、「記憶よ、さらば」という単発作品が追加されているとのこと。 そしてそして、カーデュラものが一冊にまとめられるという近刊情報を得ました! かぶりつきそうw


クライム・マシン
ジャック リッチー
晶文社 2005-09 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★
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