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ガラスびんの中のお話 / ベアトリ・ベック
[川口恵子 訳] 著者はベルギー生まれのフランス人作家。 本書は、1953年発表の童話集から、20篇を抜粋した日本オリジナルの再編版。
魔女や妖精、王様やお姫様が登場しますが、決して可愛らしいお話とはいかないんですよねぇ・・これが。 フランス妖精譚の伝統を継承しながらの創作メルヘンだそうですから、モチーフにピンと来る方もおられるのでしょうか。羨ましい〜。
もともと庇護者が不在であったり、親子的な関係においても親が子の助けになれなかったりして、その子自身の裁量や個性だけで将来が左右されていくという風な話が多いせいか、ヒリヒリと何かが寒い・・ 漠然となんだけど、そんな印象が残ります。
解説によると、原題(の日本語訳)は、“幸福の帽子をかぶって生まれてきた子へのお話”なのだそうで、“幸福の帽子”とは、生まれたての赤ちゃんの頭部に、稀に残っている羊膜を意味するらしい。 生れた子供の未来の幸運を約束する吉兆として、西洋ではこれを古くから珍重する風習があったとか。 生まれながらの“帽子”を母親代わりに(とでもいうのか)、たった独りで世界に立ち向かっていく運命を引き受けるみたいな、弱さ脆さと紙一重の強さ逞しさが、肯定的でも否定的でもなく、またそのどちらでもあり得るような捉え方でザクッと描かれている感じ。
下っ端やBランクめの妖精がいっぱい出てきた^^ 現役を引退した元妖精の小さなおばあさんとか、赤ちゃんの名付け親になるというたった一つの役目がなかなか果たせない不甲斐ないのとかね。 魔女の容姿や衣装や装飾品などの描写は細部まで手抜きがなくて、映像を想い浮かべる作業に芳しい充足感がありました。 特にルシフェルのビジュアルが強烈っw サバト(魔女集会)にやってくる魔女たちの乗り物のバリエーションといったら!
一番好きだったのは、その昔、船乗りに方角を教える羅針盤の精だった“風のばら”と四人の風のお兄さんが出てくる二篇。 物語として形を留める最小限の素朴な梗概と、ロマンティクで詩的な寂寥感に惹き込まれた。 「ドッグ」もよかった。 こちらは魔法を卒業するようなちょっと苦めな話。 物語の最初と最後で“ミ”の印象がガラッと変わるところに痺れるものがあった。 あとやはり、ガラスでできた少女や鈴の、フラジャイルで生硬なイメージが忘れ難いな・・


ガラスびんの中のお話
ベアトリ ベック
早川書房 1980-02 (文庫)
川口恵子さんの作品、翻訳本など

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