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ゴルゴン―幻獣夜話 / タニス・リー
[木村由利子・佐田千織 訳] “現代のシェヘラザード姫”と称されるリーの、大人ビターなファンタジィ短篇集。 ゴルゴン、人狼、猫、人魚、猿、ユニコーン、兎、ドラゴン、海豹、カラス・・と、獣や幻獣のモチーフで統一された短篇群は、古代や中世、近代、現代、未来SF世界と、時空を縦横に駆け廻り、尚且つ多彩なテイストによってお色直しを繰り返しながらも、遍くリー色に染め上げられていました。 色や材質を表現する言葉の拘り、特に目や髪の質感を描出させる比喩表現の流麗さは、さながら魔術師のよう。
一概にファンタジィと形容するには躊躇われるような短篇もあって。 特に世界幻想文学大賞を受賞した表題作の「ゴルゴン」は、上質な心理ホラー・・を通り越して、もはや凛然とした文学作品といった趣き。
かと思えば、「猿のよろめき」などは、言葉遊びがフックになったユーモラスな妙品で、ちょっとイギリス人的な・・皮肉の効いた自虐テイストが美味。
獣や幻獣の中で、わたしが一番印象に残ったのは「シリアムニス」の淫靡な野兎かな。 古代ギリシャ・ローマ風の香り豊かな背景と相俟って、とても好きな一篇。
「狩猟、あるいは死―ユニコーン」のキリスト教チックな象徴が刻印された幻想的な寓話美もよかったし、逆に現代という額縁の中でシュールさを底光りさせる「マグリットの秘密諜報員」も絶佳。
余談なんですけど、「にゃ〜お」や「ナゴじるし」にみられるような、忌々しい猫どもめ(笑)に翻弄される憐れな人間の図がわたしのツボでした。 このシニカルな機微は、愛猫に骨抜きにされた経験値がなければ決して繰り出せない技だと思った。 猫め(笑)への崇拝に近いほどの愛が芬々と香るんだよなぁ。
「ドラコ、ドラコ」や「白の王妃」は、従来の冒険ファンタジィやお伽噺を逆手にとったようなブラックな味付けと、それだけに留まらないホロ苦い滋味によって、一段と濃度を増していく物語世界を堪能できます。


ゴルゴン―幻獣夜話
タニス リー
早川書房 1996-03 (文庫)
関連作品いろいろ
★★
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