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黒と愛 / 飛鳥部勝則
かつて怪奇趣味風アミューズメントパークとして改装されたという奇傾城。 その廃墟は、禍々しい悪夢の展示品や、密室怪死事件の謎や、首切り幽霊の噂で飾り立てられ、毒々しさを瘴気のように纏っています。 オカルト系特番のため、ロケハンに訪れた地方テレビ局の一行の前に威容を顕す禁断の魔窟・・
マッドサイエンスを軸に、ありとあらゆる暗黒面が総出で舞台を凌辱します。 ゴス風コスチュームを纏った退廃者のアイドル的存在の美少女に、どいつもこいつも陶酔していくロリっ気たっぷりな展開からしてドンビk・・いやその、敷居を感じるのですが、ホラーとミステリの融合ものは多々あれど、言ってしまえばその極地圏的作品です。 ぶっちぎっております。 バッドテイスト炸裂です。 いっそ爽やか。
ケレンに満ちたB級っぽさや、レプリカめいたモダニズムなど、“怪奇博物館を遊園地と形容する感覚の狂い”にも似た空気が作品全体を覆っていてクラクラさせられますが、ラノベといっても通りそうな、この独特の厚みのなさによって胃もたれする脅威にはなっていない。 飛鳥部さんは2作目ですが、このチープなアブナさが癖になる。
聖性と背徳の被膜で遊ぶような象徴的モチーフや、往年の怪奇小説へと連想を繋ぐ小技や小道具がサブリミナルの如く散りばめられ、インテリ的ともいえる衒学趣味が鼻持ちならなく香っている辺りがよいお出汁になっております。
ミステリパートも、who、how、why、成功しているかどうかはともかく、それぞれに入魂の仕掛けといっていいと思います。 (→ 以後、熱くなってますので未読の方はご注意を!)
欲を言えばwhoに関して、もうちょい鮮やかな真犯人の伏線を頂きたかったかなぁ。 自分が鈍チンなんだろうけど、やられた!って手応えが全然なかったのがショックで。 てか、その前段の叙述を黙殺したい気分だったからなおさら真犯人に縋りたくなってしまったのかも;;
howの開陳の時間差的捻りが一興で、薄々読者が感づくのも計算済みと思われ。 ははん、さてはアレを使った超絶物理トリック?(って目星をつけても、やはりイリュージョン張りのバカミスの絵解きには何時だって心躍ってしまうのさ・・フフッ)、ということはつまり、犯人はアイツに違いない・・と、まさしく“名探偵もどき”の発想へと誤誘導されてしまいました。 でも、ここもちょっと一言あって、いくら“名探偵もどき”であれ、アリバイのために密室を作ったとする論理がハナから破傷しているってどうなんだ?
怪奇幻想系の土壌だとやり易いというのはあるのかな。 本格ミステリの割にwhyが有効的に機能していて、なお且つ鬱陶しくないという点も好感触。 終幕の“殉教者的情熱”の逸話が意味深で、物語に一縷の抒情的余韻を添えているのが巧いです。 ラストは仄かに希望的ではあるんだけれど「カタストロフ体験で黒から白へ反転する危うさ」も一服盛ってあるだろうか? 自分は敢えてそう読みたいかも。


黒と愛
飛鳥部 勝則
早川書房 2010-09 (単行本)
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