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緑の石と猫 / 高橋順子
詩は殆ど読まないくせに、詩人の描く小説世界が好きです。 止められないです。 裏切られたことがないです。 最近、読書熱がクールダウンしてまして、読む気満々で手に取ったわけではなかったけれど、こんな時だからこそ? この本と御縁を結べてよかったと思えた一冊。
光と影が入り混じっては別れる・・人生の断片。 その一瞬一瞬の明滅、交錯は、何物にもかえ難く確固として美しいのです。 一拍の鼓動のように。 喪失感は人生を貧しく空疎にするものではないんだって想いが散りばめられていたような・・ わたしにはそんなイメージの作品集でした。
合理性を突き詰めない方法論で心のバランスをとっている感覚に共振する時、幻想文学が自分に大きな充足を齎らしてくれるのだと、そんなことを滔々と思い廻らせました。 尤もここに編まれた短篇群は小難しく読む類いというよりも、ファンタジィという可愛らしい響きの方が似合うのですけれど。
彼岸と此岸の境を縫うように往来する猫の存在と、海によって外界と隔てられた島という界域が醸し出す、濃縮された神秘的気配と、DNAを擽られるような民話的ノスタルジーが印象深いです。 特に一番のお気に入りは、ビルの屋上に群生する苔の青臭さが鼻の奥に残る「苔の花」。 きっとセイシェルの猫目石に蠱惑されインスパイアされた物語なのだろうなぁーと想像している「緑の石と猫」や、会いたい人に会えるということの真の意味がストンと胸に納まった「花観音の島」なども好きです。
総じて結びの1、2行に惚れます。 呆気なさと余韻というアンビバレンスに嵌って溜息が洩れるほどに上質感が際立つエンドマーク。 物語は更なる高みへ・・


緑の石と猫
高橋 順子
文藝春秋 2009-10 (単行本)
高橋順子さんの作品いろいろ
★★★
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