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ウッドストック行最終バス / コリン・デクスター
[大庭忠男 訳] オックスフォードからウッドストックへ向かう最終バスに乗りそびれた二人の娘。 どうやらヒッチハイクで車を拾ったらしいのですが、そのうちの一人がウッドストックの酒場の中庭で惨殺死体となって発見されます。 にも関わらず、もう一人の娘が一向に名乗り出て来ません。 固く口を閉ざしているのは何故・・?
デクスターの処女長編。 モース警部シリーズ(13作まで続くらしい)の記念すべき1作目です。 “処女作にはその作家のすべてがある”と俗に言いますが、“デクスターらしさ”が如実に顕れた作品として、本編を代表作に推すファンも多いそうです。
鮮やかな解決編に快哉を叫びたくなるミステリも好きですが、あーでもないこーでもないと、難解なクロスワードパズルの空欄を埋めては消し、消しては埋めていく過程の愉しみに特化したかのような推理小説作法も、わたしは好きなのでした。
解説の新保博久さんによるデクスター論が素晴らし過ぎて、何を書こうとしても影響を受けてしまうのが情けないところですが、めげずに開き直って書き散らかしますと、事件解決へのアプローチの特徴は“科学捜査の閑却”と“仮説ありき”といった感じでしょうか。 テレズ・バレイ警察のモース主任警部という、現代のオックスフォード近郊を舞台に活躍する探偵役が、こうも無造作に捜査のセオリーを黙殺し、推理天国という名の脳内ワンダーランドの中で自己完結しているが如き風情は、なんだか呆気にとられるほど超然としていて、ストイックで。 そういう意味では相当に大胆でラディカルな本格趣向といえるかもしれません。
とにかくモース警部の脱線した天才ぶりというのか、悩める名探偵ぶりというのか・・もうね、それに尽きます。 仮説の立証に失敗しては意気消沈したり、癇癪玉を破裂させたりして相棒のルイス部長刑事(執事のように忍耐強い!)にやきがまわったかと危ぶまれぇの、容疑者にはおちょくられぇの^^; それでも持ち前のつむじ曲がりの強情さを発揮して、手持ちのデータを想像力で補うことで一条の光を見出し、再三再四仮説を練り直す作業を繰り返しながら論理を推し進めていくうちに、序盤から中盤、中盤から終盤へと作品空間の濃度がどんどん増していくプロセスを読者は体感することに。 “捜査の初期のように陽気で騒々しくはなく、どことなく凄味が出てきて怖いような気がする”とルイス刑事が独りごちたように、知らず知らずのうちにモース警部の輪郭が陰翳を増していくのもまた趣き深いのです。


ウッドストック行最終バス
コリン デクスター
早川書房 1988-11 (文庫)
関連作品いろいろ
★★★
| comments(2) | trackbacks(0) |
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C O M M E N T
こんにちは。
お久しぶりです。
モース警部もの大好きです!
といっても,全部読んだわけじゃないのですけど。
特に『ウッドストック行き最終バス』は題名が格好いいですよね。
試行錯誤の末に解答を導き出す論理性も楽しい。
私も久しぶりに読みたくなってきましたvv
| 森山樹 | 2010/12/13 |

こんばんわ。こちらこそ御無沙汰しております。
森山さんもお好きでしたかー^^
実はわたし、タイトルにずっとソソられていたのですょ。
読んでみたら、内容もドンピシャ好みで嬉しくなりました♪
性格悪っ! なモース警部が癖になりますw
このシリーズ13作目で、ちゃんと完結しているんですねぇ。
それを聞いてしまうと、なんか最後まで付き合いたくなるなぁ・・
| susu | 2010/12/14 |









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